学芸員資格認定試験とは?試験認定・審査認定の受験資格と流れ

試験問題の冊子と博物館学の本が並ぶ机に、学芸員資格認定試験の受験資格と流れを紹介する記事タイトル

当サイトは文化庁・文部科学省などの公的機関と、大学・博物館の公式サイトの公開情報をもとに編集部が独自に執筆しています。制度や募集の内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトで確認してください。記事内には広告を含む場合があります。

大学で学芸員の単位を取らずに、試験で資格を取れないかな。そう考えて、学芸員資格認定試験のことを調べている方も多いですよね。

結論から言うと、学芸員資格認定には筆記試験の「試験認定」と、書類で審査する「審査認定」の2つがあります。どちらも受験資格があり、試験認定は合格後に1年間の実務経験も必要です。

この記事を読めば、自分が大学ルートと試験認定・審査認定のどれに当てはまるかが分かります。

目次

学芸員資格認定試験とは?文部科学大臣が行う資格認定

先に結論

学芸員資格認定は、大学で単位を取る以外に学芸員の資格を得るための制度です。文部科学大臣が行い、方法は「試験認定」と「審査認定」の2つです。文化庁は、資格認定を「あくまでも大学における学修を補完するもの」と説明しています。

学芸員は、博物館法という法律に定められた資格です。博物館法第5条には、資格を持つ人として3つの道が書かれています。

博物館法第5条の道中身
第1号学士の学位を持ち、大学で博物館に関する科目の単位を取った人
第2号学芸員補になれる人で、3年以上学芸員補の職にあった人
第3号文部科学大臣が、前の2つと同等以上の学力と経験があると認めた人

学芸員資格認定は、この第3号に当たります。試験認定か審査認定に合格した人が、同等以上と認められる仕組みなんです。

ほかの道も含めた全体像は、学芸員資格の取り方|3つのルートで比べています。

学芸員資格認定機関はどこ?

『どこが試験をしているの?』という疑問もありますよね。資格認定を行うのは文部科学大臣で、文化庁の参事官(文化拠点担当)付博物館振興室が担当しています。

令和8年度の受験案内では、出願書類の提出先と問い合わせ先は「学芸員資格認定運営事務局(株式会社日本旅行 公務法人営業部内)」です。出願書類は郵送で送ります。

2年に1回の実施になった

令和5年4月1日施行の施行規則で、資格認定は「少なくとも2年に1回」行うことになりました。令和6年度は試験認定、令和7年度は審査認定、令和8年度は試験認定、令和9年度は審査認定で、令和10年度以降も繰り返すとされています。

文化庁は、隔年にした理由として、学芸員養成課程を開講する大学が約300校に増えたことを挙げています。放送大学での科目履修や通信制大学など、ほかの手段が整っていることも理由の一つです。

試験認定と審査認定の違いと、学芸員の受験資格

ここが大事なところです。試験認定と審査認定は、名前は似ていますが、受ける人も中身もまったく違います。

試験認定
  • 大学卒業の程度の筆記試験で8科目を受ける
  • 2回以上に分けて、1科目ずつ受けられる
  • 筆記に合格したあと1年間の実務経験が必要
審査認定
  • 筆記試験はなく、学識と業績を書類で審査する
  • 修士の学位や長い実務経験などが受験資格になる
  • 著書・論文・報告などを提出する

試験認定の受験資格

試験認定の受験資格は、博物館法施行規則第5条で決まっています。次のどれかに当てはまれば受けられます。

受験資格中身
1号大学院に入学できる人(大学を卒業した人など)
2号大学に2年以上在学して62単位以上を取り、博物館資料に関する実務が2年以上ある人
3号大学に入学できる人で、博物館資料に関する実務が4年以上ある人
4号教員の普通免許状を持ち、教員として2年以上勤めた人
5号その他、文部科学大臣が同等以上と認めた人

5号で受ける場合は、「受験資格認定申請書」で大臣の認定を受ける必要があります。

『大卒なら受けられるってこと?』と思った方、その通りです。大学を卒業した人は1号に当たるので、学部に関係なく受験資格があります。

審査認定の受験資格

審査認定の受験資格は、施行規則第9条で決まっています。こちらは実務経験が前提です。

受験資格中身
1号修士・専門職学位・博士の学位を持ち、実務が2年以上
2号大学で博物館に関する科目(生涯学習概論を除く)の教員を2年以上、実務が2年以上
3号都道府県教育委員会の推薦があり、学歴に応じて実務が4年・6年・8年以上
4号その他、文部科学大臣が同等以上と認めた人

審査では、博物館に関する著書・論文・報告などを提出します。3号の場合は、顕著な実績を証明する書類でもかまいません。

3号は少し複雑なので、学歴ごとに分けて見てみましょう。どれも都道府県教育委員会の推薦が前提です。

3号の区分学歴必要な実務の年数
イ大学院に入学できる人4年以上
ロ大学に2年以上在学して62単位以上を取った人6年以上
ハ大学に入学できる人8年以上

学歴が短いほど、求められる実務の年数が長くなる仕組みです。長く博物館で資料に関わってきた人に向けた道だと分かりますね。

自分はどれ?大学・試験認定・審査認定の判定表

『結局、自分はどの道を選べばいいの?』と迷いますよね。ここでは、今の自分の状況から当てはまる道を見つける表を用意しました。

判定表の使い方

上の行から順に読んで、最初に当てはまった行が、いちばん現実的な道の目安です。複数に当てはまる場合は、かかる時間と手間を比べてみてください。

今の自分の状況当てはまる道理由
高校生・大学生で、課程のある大学に通う予定大学で単位を取る在学中に9科目19単位をそろえるのが基本
大学を卒業していて、博物館で働いた経験がない大学で単位を取る、または試験認定試験認定は筆記合格後に1年の実務が必要
大卒で、博物館で働いていて実務経験がある試験認定筆記合格後の1年の実務に職場での経験が使える
修士以上の学位があり、実務が2年以上ある審査認定研究の業績を書類で示せる
学士はないが、博物館資料の実務が長い試験認定3号か、教育委員会の推薦で審査認定3号実務の年数で受験資格が得られる
教員免許を持ち、教員として2年以上勤めた試験認定4号教員経験が受験資格になる

例えば、大学を卒業して会社員をしている場合を考えてみます。試験認定は受けられますが、筆記に合格しても1年の実務がないと試験認定合格者になれません。

一方で、大学で単位を取れば実務経験は求められません。「試験のほうが早そう」と思っても、実務を含めると大学ルートのほうが近いこともあるんです。

自分の状況から大学・試験認定・審査認定のどれに当てはまるかを判定する流れの図解
よくある勘違い

筆記試験に合格しただけでは、まだ学芸員の資格はありません。試験認定は「筆記試験合格者」になったあと、1年間の博物館資料関係の実務を経て「試験認定合格者」になる二段階の仕組みです。

試験認定の流れと令和8年度の日程

ここからは、試験認定を受ける時の流れを見ていきます。令和8年度は試験認定だけが行われます。

試験認定の流れ
  1. 受験資格を確かめ、受験案内と様式を文化庁のサイトから入手する
  2. 出願期間内に、必要書類を事務局へ書留などで郵送する
  3. 12月の試験日に、8科目のうち免除されない科目を受ける
  4. 全科目に合格すると「筆記試験合格者」になる
  5. 1年間、博物館資料関係の実務を行う
  6. 試験認定合格申請書を出し、認定を受けて「試験認定合格者」になる
学芸員資格認定の試験認定で、出願から筆記試験、実務を経て試験認定合格者になるまでの流れを示した図解

出願書類はこれだけそろえる

試験認定の出願では、思ったより多くの書類が必要です。令和8年度の受験案内に載っている主な書類を、チェックリストにしてみました。

試験認定の出願書類
  • チェック票と受験願書
  • 受験資格を証明する書類(卒業証明書など)
  • 履歴書と写真票
  • 戸籍抄本または住民票の写しなど
  • 職務内容証明書(2号・3号で受ける人など)
  • 科目の免除を受けるための証明書
  • 返信用封筒

卒業証明書や単位修得証明書は、出身大学に申し込んでから届くまで日数がかかることもあります。出願期間が始まる前に取り寄せておくと安心です!

令和8年度の日程

項目令和8年度の内容
出願期間令和8年7月16日〜9月2日(当日消印有効)
試験日12月17日・12月18日
会場TKP新橋カンファレンスセンター(東京都千代田区)
結果の通知令和9年2月下旬(郵送)

令和8年度の出願期間は、すでに終わっています。文化庁の取扱いでは、令和9年度は審査認定の年です。

過年度の様式で出願すると受理されないので、受ける年の受験案内を文化庁のサイトで確かめてみてください。

試験科目は8科目

試験認定の試験科目は、博物館に関する科目から博物館実習を除いた8科目です。

試験科目
生涯学習概論
博物館概論
博物館経営論
博物館資料論
博物館資料保存論
博物館展示論
博物館教育論
博物館情報・メディア論

2回以上に分けて、1科目以上ずつ受けることができます。つまり、何年かかけて少しずつ合格を積み上げる受け方もできるんです!

免除の仕組みと手数料

大学で試験科目に当たる科目の単位を取った人や、大臣が定める学修を終えた人は、願い出ればその科目が免除されます。大臣が定める学修の例には、社会教育主事講習や司書講習があります。

例えば、司書の単位修得証明書があれば、「生涯学習概論」が免除される場合があります。

8科目すべてに当たる単位がある人は、当日受験せずに「全科目免除者」として筆記試験合格者になれます。出願の手続きは必要です。

手数料の種類金額
試験認定1科目につき1,300円
審査認定3,800円
全科目免除の願い出800円

手数料は収入印紙で納め、納めたあとは返ってきません。返信用封筒は180円切手を貼った角形2号を2通(全科目免除者は1通)用意します。

1年間の実務はどう数える?

受験案内では、1日7時間45分、年間220日程度の勤務で1年とみなすとされています。常勤か非常勤かは問わず、勤務先は博物館類似施設でもかまいません。

『筆記に受かっても、働く場所がなかったら?』と不安になりますよね。そこがこのルートの難しいところなので、受験前に実務の見通しを立てておきましょう。

ここまで読んで、「実務を積むより、大学で単位を取るほうが近いかも」と感じた方もいるはずです。その場合は、学芸員課程のある大学を探して、通信制や科目等履修の資料を比べてみてください。

大学選び

学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる

学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。

資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る

(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)

学芸員資格の合格率と難易度は?

『学芸員の合格率はどれくらい?』と気になる方も多いですよね。文化庁は、毎年の結果を公表しています。

合格者数の見方

文化庁の結果表の「合格者」は、全科目免除者を含む筆記試験合格者です。全科目を受けた人だけの合格率ではないので、数字をそのまま難易度と考えないようにしましょう。

年度方法出願者合格者科目合格者
令和5年度試験認定104人57人34人
令和6年度試験認定84人50人21人
令和5年度審査認定63人45人対象外
令和7年度審査認定129人84人対象外

令和6年度の試験認定では、出願者84人のうち合格者が50人でした。半分を少し超える人数ですが、この合格者には全科目免除者も入っています。

「科目合格者」は、一部の科目だけ合格した人の数です。分割して受けられる試験なので、残りの科目はあとの回に受けることができます。

学芸員資格認定試験の難易度の考え方

試験認定は「大学卒業の程度」で行う筆記試験です。博物館学を学んだことがない人にとっては、8科目それぞれに知らない用語が多く出てくるはずです。

難易度を考える時は、筆記試験だけでなく、そのあとの1年の実務まで含めて見ておきましょう。学芸員になるまでの難しさ全体については、学芸員の難易度と倍率でまとめています。

学芸員の過去問はどこで見られる?勉強の進め方

『学芸員の過去問って、本になっているの?』という質問もよく見かけます。

文化庁は、令和2年度から令和6年度の試験問題を、学芸員の資格認定のページに掲載しています。まずはここから、出題の形と範囲を確かめてみてください。

過去問を使った勉強の進め方
  • 文化庁のページで、直近の試験問題を全科目分そろえる
  • 1年分を時間を測って解き、どの科目が苦手かを把握する
  • 苦手な科目から、博物館学の教科書や大学の教材で用語を確かめる
  • 免除できる科目がないか、自分の単位修得証明書で確かめる
  • 一度に全科目を狙わず、分割受験の計画を立てる

放送大学には、試験科目に当たる科目があり、その単位を取って免除を申請する方法も案内されています。独学で進めにくい科目だけ、大学の科目で埋める考え方もできます。

独学や通信講座でどこまで進められるかは、学芸員資格は独学・通信講座で取れる?で詳しく紹介しています。

学芸員の採用試験の過去問とは別もの

ここは混同しやすいところです。学芸員資格認定の過去問と、博物館に採用されるための「採用試験」の過去問は別ものなんです。

自治体の学芸員採用試験は、自治体ごとに中身が違います。例えば埼玉県の令和8年度の学芸員採用選考は、専門試験(記述式)、専門論文、一般論文、集団討論と個別面接で組み立てられていました。

比べる点学芸員資格認定(試験認定)自治体の学芸員採用試験の例
目的学芸員の資格を得る博物館などの職員として採用される
実施する所文部科学大臣各自治体や各館
過去問文化庁のサイトに掲載公開の有無は自治体ごとに違う
中身の例博物館に関する8科目の筆記専門の記述・論文・面接など

採用試験の過去問や出題の形は、受験する自治体の採用ページや受験案内で確かめてみてください。採用試験の全体像は学芸員は公務員?採用試験の内容と対策で紹介しています。

学芸員資格認定試験でよくある相談

ここでは、学芸員資格認定試験についてよく見かける相談を3つ取り上げます。内容は要約しています。

相談1:大学で関係のない学部だったが、試験は難しい?

大学で博物館とまったく関係のない勉強をしていたけれど、学芸員資格認定試験を受けようか迷っている、という相談です。

大学を卒業していれば、学部に関係なく試験認定の受験資格はあります。ただ、博物館学の用語に初めて触れる科目が多いので、準備には時間がかかると考えておきましょう。

まずは文化庁の過去問を1年分解いてみて、「どの科目なら手が届きそうか」を確かめるのがおすすめです。分割受験ができるので、得意な科目から合格を積み上げる作戦も取れます。

相談2:会社員だけど、受験資格はある?

一般の会社に勤めている人が、学芸員資格試験を受けられるか知りたい、という相談です。

大学を卒業していれば、試験認定1号の受験資格があります。会社員であることは関係ありません。

ただし、筆記試験に合格しても、そのあと1年間の博物館資料関係の実務が必要です。今の仕事を続けながらでは実務を積みにくい場合は、通信制大学で単位を取る道とも比べてみてください。

相談3:過去問は本で出ている?

学芸員資格認定試験の過去問の本を探したけれど見つからない、という相談もあります。

文化庁のサイトに、令和2年度から令和6年度の試験問題が載っています。まずは公式の過去問から始めるのが確実です。

『答えはどこにあるの?』と迷う方もいるようです。答え合わせは、博物館学の教科書や大学の教材で、問われている用語を一つずつ確かめる形で進めてみてください。

よくある質問

学芸員資格認定試験は毎年ありますか?

令和5年4月1日施行の施行規則で、少なくとも2年に1回の実施になりました。令和8年度は試験認定、令和9年度は審査認定で、令和10年度以降も隔年を基本に繰り返すとされています。

学芸員の受験資格は大卒でないとだめですか?

試験認定は、大卒以外にも受験資格があります。大学に2年以上在学して62単位以上を取り実務が2年以上ある人や、大学に入学できる人で実務が4年以上ある人も受けられます。

筆記試験に合格したら学芸員の資格を持てますか?

まだ持てません。筆記試験合格者になったあと、1年間の博物館資料関係の実務を行い、認定を受けて試験認定合格者になる必要があります。

学芸員資格認定に合格したら証書はもらえますか?

試験認定合格者・審査認定合格者には合格証書、筆記試験合格者には筆記試験合格証書が授与されます。申請すれば合格証明書なども交付されます。

試験認定で合格した科目は大学の単位に使えますか?

博物館法施行規則では、試験認定で合格点を得た科目は、大学で修得すべき博物館に関する科目の単位に替えられると定めています。

まとめ

学芸員資格認定には、筆記の試験認定と書類の審査認定があり、どちらも受験資格が決まっています。試験認定は筆記合格のあとに1年の実務が必要なので、大学ルートと比べて考えるのが大切です。

日程は隔年で変わるので、受ける年の受験案内を文化庁のサイトで確かめておきましょう。

この記事の要点
  • 資格認定は文部科学大臣が行い、試験認定と審査認定の2つがある
  • 試験認定は8科目の筆記で、分割受験や科目の免除ができる
  • 筆記合格のあと1年の実務を経て、試験認定合格者になる
  • 審査認定は修士の学位や長い実務経験などが受験資格
  • 令和8年度は試験認定、令和9年度は審査認定の年
  • 過去問は文化庁のサイトに令和2年度から令和6年度分が載っている

学芸員の仕事と資格の全体像は学芸員とは?仕事内容・資格・なり方から確かめられます。

学芸員ガイド

学芸員ガイド 編集部

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