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『学芸員になりたいけど、ちゃんと生活していけるのかな』と、年収や給料が気になっている方も多いはずです。
結論から言うと、学芸員の年収は「学芸員だから一律いくら」とは決まっていません。公立の館なら自治体の給料表、国立の館なら法人の規程、会計年度任用職員なら自治体ごとの決まりと、働く場所と雇用形態で決まります。
この記事では、金額の噂に振り回されないように、学芸員の給料の決まり方と、自分で確かめる方法を紹介します。
学芸員の年収は「どこで・どの形で働くか」で決まる
学芸員の年収を知りたい時は、平均の金額を探すより「どの給与のルールが当てはまるか」を見る方が確実です。働く館の運営者と、正規・任期付き・非常勤といった雇用形態がわかれば、給与の決まり方が見えてきます。
学芸員は、博物館法で定められた専門的職員です。ただ、給料のルールは博物館法ではなく、雇う側(自治体や法人)が決めています。
『じゃあ、自分の場合はどれに当たるの?』と思いますよね。まずは表で全体を見てみましょう。
| 働き方 | 給与の決まり方 | 金額を確かめる場所 |
|---|---|---|
| 公立の館の正規職員(地方公務員) | 自治体の給与条例と給料表 | 受験案内の「初任給」、自治体の給与の公表資料 |
| 公立の館の会計年度任用職員 | 自治体ごとの決まり(報酬・給料) | 募集要項の「報酬」「給与」欄 |
| 国立の館の職員(独立行政法人) | 法人の給与規程(研究職の給料表、年俸制など) | 公募要項の「給与」欄 |
| 文化庁の職員(国家公務員) | 一般職の職員の給与に関する法律 | 採用のお知らせの「給与」欄 |
| 私立の館・指定管理者の職員 | 運営する法人の規程 | 募集要項・求人票 |
同じ学芸員でも、どの行に当てはまるかで給料の仕組みはまったく違います。
同じ館の中でも、常勤の職員と非常勤の職員が一緒に働いていることがあるんです。博物館の学芸員の年収を考える時は、まずここから始めるのがおすすめです。

どの働き方の人が多いのか
令和6年度の文部科学省「社会教育調査」では、博物館(1,346館)の学芸員は5,618人でした。内訳は、専任3,633人、兼任448人、非常勤672人、指定管理者865人です。
専任は常勤の職員として発令された人、兼任は他の施設の常勤職員が兼ねている人、非常勤は非常勤職員として発令された人のことです。学芸員の給料を考える時は、この雇用の違いも一緒に見ておきましょう。
仕事の中身と給料は別のルールで決まる
文化庁は、学芸員の主な仕事として、資料の収集・整理、保管・保存、展示・活用、調査研究、教育普及活動などを挙げています。とても幅の広い仕事ですよね。
ただ、給料は「展示を何本担当したか」で変わるわけではありません。雇う側の給与のルールに沿って、雇用形態や経験で決まるのが基本です。
公務員の学芸員の給料の決まり方
公立の博物館・美術館で正規職員として採用された学芸員は、地方公務員です。学芸員の公務員としての年収は、その自治体の給与条例と給料表で決まります。
- 自治体の給与条例で、どの給料表を使うかが決まる
- 学歴や経験に応じて、給料表の「級」と「号」が決まる
- 給料表の額に、地域手当などの各種手当が加わる
- 勤続や昇任によって、級や号が上がっていく
給料表は、職員の給料の額を「級(役職の段階)」と「号(同じ級の中の段階)」の組み合わせで決めた表です。つまり、年齢や勤続年数、役職によって給料は少しずつ変わっていきます。
給料はどう上がっていく?
給料表で働く場合、勤続にしたがって同じ級の中の「号」が上がっていきます。役職が上がると「級」が変わり、給料の段階も変わります。
例えばこんなイメージです。
「最初の数年で、年収はどう変わっていくの?」
「同じ級の中で号が少しずつ上がって、役職が変わると級も上がる仕組みだよ」
どのくらいのペースで上がるかは自治体の決まり次第なので、給料表と昇給のルールを一緒に見ておくと安心です。
初任給は受験案内に書いてある
自治体の学芸員採用選考の受験案内には、初任給の目安が書かれていることがあります。例えば埼玉県の令和8年度学芸員採用選考の受験案内にも、地域手当を含めた初任給が載っていました。
『実際の金額が知りたい』という方は、目指す自治体の受験案内をのぞいてみてください。金額だけでなく「いつ時点の額か」「手当を含むか」も一緒に確かめておくのがコツです。
学芸員の月収として紹介される額は、給料に手当を足した毎月の額のことが多いです。年収はそれに賞与などが加わるので、月収を12倍しただけでは年収になりません。募集要項では、どこまでが含まれた額なのかを確かめてみてください。
自治体の給与の公表資料も手がかりになる
自治体のホームページには、職員の給与の状況や給料表を公表しているページがあることが多いです。学芸員だけを取り出した数字が載っているとは限りませんが、その自治体の給料表や初任給の決まり方を知る手がかりになります。
公務員の学芸員の採用試験については学芸員は公務員?採用試験の内容と対策で詳しく紹介しています。
国立・私立の館や会計年度任用職員の給与の決まり方
公立の正規職員以外の働き方では、給与の決まり方がもう少しバラバラです。実際の募集要項から、どんな書き方がされているかを見てみましょう。
| 募集の例 | 雇用の形 | 給与の書き方 |
|---|---|---|
| 東京国立博物館 研究職員 | 期間の定めなし | 研究職の給料表(大学院修士課程修了者の初任給を例示) |
| 九州国立博物館 アソシエイトフェロー | 年度単位の契約(最長3年) | 年俸制で金額の幅を表示、退職手当なし |
| 国立工芸館 特定研究員 | 特定有期雇用職員 | 基本給の月額に地域手当を加算 |
| 国立科学博物館 研究員 | テニュアトラック(原則5年) | 研究職2級の基本給を例示 |
| 文化庁 文化財調査官 | 任期付き | 一般職の職員の給与に関する法律に基づく |
国立の館の公募要項には、給与の額や決まり方がかなり具体的に書かれていることが多いです。ここが大事なところで、気になる館があれば、要項の「給与」欄を一度じっくり読んでみるのがいちばんの近道なんです。
国立の館で働く道は国立の博物館・美術館の学芸員になるにはで詳しく紹介しています。
年俸制と退職手当も見ておく
年俸制は、1年分の給与の額を最初に決めて、それを分けて支払う仕組みです。九州国立博物館のアソシエイトフェローの募集は年俸制で、金額の幅が示されていました。
同じ募集には「退職手当なし」とも書かれていました。年収の額だけでなく、退職手当や任期の長さまで含めて比べると、働き方の違いが見えてきます。
会計年度任用職員の報酬
自治体の学芸員の募集では、会計年度任用職員として働く形もよくあります。一会計年度(4月から翌年3月)を超えない範囲で置かれる非常勤の職で、令和2年4月1日に始まった制度です(総務省)。
- 給料と旅費、一定の手当が支給される
- 勤務時間は常勤の職員と同じくらい
- 任期は一会計年度の範囲内
- 報酬と費用弁償、期末手当が支給される
- 勤務時間は短め
- 任期は一会計年度の範囲内
この制度ができたことで、非常勤の職員にも期末手当を払えるよう決まりが整えられました。金額は自治体ごとに違うので、募集要項の「報酬」欄を確かめてみてください。
私立の館・指定管理者の職員
私立の館や、自治体から運営を任された指定管理者の職員の給料は、運営する法人の規程で決まります。公務員の給料表とは別のルールなので、求人票や募集要項で一つずつ確かめるしかありません。
雇用形態ごとの違いは学芸員の雇用形態|正規・非常勤・会計年度任用職員の違いで詳しく紹介しています。
学芸員の平均年収や給料ランキングを見る時の注意
学芸員の平均年収や、職業別の給料ランキングを探している方もいますよね。実は、学芸員だけの年収を示す公的な統計の値は、この記事の調査では確認できていません。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には学芸員のページがありますが、掲載の数値はこの記事では確かめきれていません。そのため、ここでは金額を出していません。
ネットで見かけた学芸員の年収の数字を、そのまま自分の将来の年収だと思い込んでしまうことです。どの統計の、いつの、どんな働き方の人の数字なのかが分からないと、自分に当てはまるかは判断できません。
- 出どころは公的な統計か、個人の推測か
- いつ時点の数字か
- 正規職員だけか、非常勤も含むか
- 学芸員だけの数字か、博物館の職員全体の数字か
- 月収なのか、賞与を含む年収なのか
無期雇用と有期雇用の割合も手がかりになる
年収を考える時は、任期のない雇用か、任期のある雇用かも大事です。日本博物館協会の「令和6年度 日本の博物館総合調査」(速報版)では、1館当たりの専任の学芸系の常勤職員は平均2.7人で、そのうち無期雇用が2.0人、有期雇用が0.6人でした。
有期雇用の場合は、契約が終わる時期に次の働き先を考える必要があります。1年の年収だけでなく、何年続けられるかもセットで考えてみてください。
自分で年収の見通しを立てる手順
平均年収が分からなくても、目指す働き方の年収はかなり具体的に見通せます。ポイントは、募集要項と給料表を組み合わせることです。
- 目指す館が公立・国立・私立のどれかを決める
- その館や自治体の過去の募集要項・受験案内を探す
- 「初任給」「給与」「報酬」の欄で、額と含まれる手当を確かめる
- 公立なら自治体の給料表を見て、昇給の仕組みをつかむ
- 任期や更新の条件も見て、何年先まで見通せるかを考える

例えばこんなふうに調べていくと、ぐっと現実的になります。『県の学芸員になりたい』なら、その県の受験案内の初任給と、県が公表している給料表を並べてみる、という具合です。
学芸員の給料は安いと言われる理由
『学芸員の給料は安いって聞いたけど本当?』という声はよく聞きますよね。給料が安いと言われる背景には、いくつかの理由が考えられます。
| 言われる理由 | 実際の事情 | 見ておきたいこと |
|---|---|---|
| 非常勤や任期付きの募集がある | 学芸員の中には非常勤や指定管理者の職員もいる | 募集の雇用形態と任期 |
| 一つの館の職員が少ない | 典型的な館は常勤職員3人(日本博物館協会の調査・中央値) | 担当する仕事の幅 |
| 専門の勉強に時間がかかる | 国立の館では修士以上を求める例が多い | 大学院に進む年数 |
| 仕事の量が多く感じる | 館の課題として職員数の不足を挙げる館が多い | 勤務時間や休日の決まり |
日本博物館協会の「令和6年度 日本の博物館総合調査」(速報版)では、職員数が不足していると答えた館が73.2%ありました。人が少ない中で幅広い仕事をこなす館もあるので、仕事の量に比べて給料が見合わないと感じる人もいるのかもしれません。
一方で、公立の館の正規職員なら、その自治体の他の職員と同じ給与のルールで働きます。「学芸員だから特別に低い」というより、働き方の違いが大きいと考えておくと見通しやすくなります。
学芸員のつらさや大変さについては学芸員はやめとけ?つらい・食えないと言われる理由で詳しく見ています。
給料以外に見ておきたい条件
年収だけで働き方を比べると、見落としが出やすくなります。募集要項では、給料と一緒に次の条件も確かめておきましょう。
- 勤務時間(東京国立博物館の研究職員の募集では1日7時間45分)
- 土日の勤務(埼玉県の案内では、博物館・文書館勤務は土日を含む変則勤務)
- 任期と更新の上限
- 退職手当の有無
- 定年(東京国立博物館の研究職員の募集では満65歳)
『月の額は同じくらいでも、任期や退職手当で全然違う』ということもあります。長く働くことを考えるなら、ここまで含めて比べてみてください。
学芸員資格を持つと年収は上がる?
『学芸員資格を取れば、それだけで年収が上がるの?』と気になる方もいますよね。学芸員資格の年収への影響は、働く場所の給与のルール次第です。
学芸員の職に就くために資格が条件になることはありますが、資格を持っているだけで給料が加算されるかどうかは、雇う側の規程で決まります。資格手当のようなものがあるかは、募集要項で確かめてみてください。
学芸員の年収、よくある相談
学芸員の年収や給料について、よく寄せられる相談に答えます。
有名な美術館や博物館でも、学芸員の給料は安い?
『大きな美術館なら、給料も高いのでは』と思いますよね。
館の知名度で給料が決まるわけではありません。公立の館なら自治体の給料表、国立の館なら法人の規程で決まります。
有名な館でも、任期付きか任期なしかで条件は大きく変わるので、募集要項で雇用の形と給与を一緒に見てみてください。
国立博物館の学芸員の年収はどのくらい?
国立の博物館・美術館は、多くが独立行政法人によって運営されています。給与は、法人の規程や研究職の給料表、年俸制などで決まります。
東京国立博物館の研究職員の選考案内では、大学院修士課程修了者の初任給が研究職の給料表の級と号とともに例示されていました。具体的な額は、その時々の公募要項で確かめるのが確実です。
学芸員の給料で、普通の暮らしはできる?
暮らしに必要なお金は、住む地域や家族構成によって人それぞれです。そのため、この記事で「できる・できない」を一概には言えません。
大事なのは、目指す働き方の給与を募集要項で確かめ、任期や更新の条件まで含めて考えることです。正規職員を目指すのか、まずは任期付きで経験を積むのかでも、見通しは変わってきます。
歴史の博物館に勤めたい。年収はどう考えればいい?
歴史の博物館も、運営しているのが県や市なのか、法人なのかで給料のルールが変わります。歴史系かどうかより、どの自治体・法人に雇われるかが大事です。
『地元の歴史博物館で働きたい』なら、その自治体の学芸員採用選考の受験案内を探すところから始めてみてください。
公立の恐竜博物館や自然史の館で働きたい。年収はどう違う?
『理系の学芸員だと給料は違うの?』という相談もあります。分野で給料のルールが分かれるのではなく、公立なら自治体の給料表、法人なら法人の規程で決まる点は同じです。
県立の自然史の館なら、その県の学芸員採用選考の受験案内を見てみてください。岐阜県のように、地学・古生物といった自然分野で学芸員を採用した例もあります。
まだ資格の準備がこれからなら、年収のことと並んで、どこで資格を取るかも大きな分かれ道です。学芸員課程のある大学を探して、資料で学べる分野や実習の仕組みを比べてみてください。
大学選び
学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる
学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。
資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)
よくある質問
学芸員の平均年収はいくらですか?
学芸員だけの平均年収を示す公的な統計の値は、この記事では確認できていません。公立なら自治体の給料表、国立なら法人の規程で決まるので、目指す館の募集要項で確かめるのが確実です。
公務員の学芸員と、他の公務員の給料は違いますか?
給料は自治体の給与条例と給料表で決まります。学芸員にどの給料表が使われるかは自治体によって違うので、受験案内や自治体の公表資料で確かめてみてください。
会計年度任用職員の学芸員にボーナスはありますか?
会計年度任用職員の制度では、期末手当を支給できるよう決まりが整えられています。支給の有無や額は自治体ごとに違うので、募集要項で確かめてみてください。
職業別の給料ランキングで、学芸員はどのあたりですか?
学芸員だけの年収を示す公的な統計の値が確認できていないため、この記事ではランキングでの位置は紹介していません。ランキングを見る時は、元になった統計と、どんな働き方の人を集計した数字なのかを確かめてみてください。
学芸員の月収はどこで分かりますか?
募集要項や受験案内の「初任給」「給与」「報酬」の欄に書かれていることが多いです。手当を含む額かどうかも一緒に見ておきましょう。
まとめ
学芸員の年収や給料は、どこで・どの雇用形態で働くかで決まります。公立なら自治体の給料表、国立なら法人の規程、会計年度任用職員なら自治体ごとの決まりです。
ネットの平均年収の数字に振り回されず、目指す館の募集要項や受験案内で、給与・手当・任期をセットで確かめてみてください。学芸員という仕事の全体像は学芸員とは?仕事内容・資格・なり方をわかりやすく解説にまとめています。
- 学芸員の年収は一律ではなく、働く館の運営者と雇用形態で決まる
- 公務員の学芸員は、自治体の給与条例と給料表(級と号)で給料が決まる
- 国立の館は法人の規程で、年俸制や任期付きの募集もある
- 学芸員だけの平均年収の公的な値は確認できておらず、数字は出どころを確かめる
- 給料が安いと言われる背景には、非常勤・任期付きの働き方や職員の少なさがある





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