学芸員は国家資格?任用資格の意味と資格の価値

資料室の机に置かれた本とルーペに「学芸員は国家資格?」の文字

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「学芸員って国家資格なの?」「免許みたいに証明書がもらえるの?」と、取る前に気になる方も多いですよね。

結論から言うと、学芸員資格は博物館法という国の法律に定められた資格で、一般に国家資格と呼ばれることもあります。ただし、資格を持っているだけでは学芸員にはなれず、博物館に採用されて初めて学芸員になります。

この記事では、その仕組みと資格の価値を、ほかの資格と比べながらお話ししますね。

目次

学芸員は国家資格?まずは結論から

先に結論

学芸員資格は、博物館法第5条に要件が定められた、国の法律に基づく資格です。そのため一般に国家資格と呼ばれることもあります。ただ、文化庁などの公的なページでは「国家資格」という言葉は使われていません。

『国家資格って書いてあるサイトもあるけど、違うの?』と思いますよね。

博物館の学芸員の資格は、国の法律で要件が決まっていて、文部科学大臣が資格認定も行っています。その意味で、国家資格の一つとして紹介されることが多いんです。

ただ、学芸員資格の仕組みは、試験に受かってすぐに名乗れるタイプの資格とは少し違います。

国家資格と呼ばれる理由を整理すると

学芸員資格が国家資格と呼ばれる背景を、法律の中身から見てみましょう。

法律の中身どこに書かれているか
学芸員の資格の要件が決まっている博物館法第5条
学芸員補の資格の要件も決まっている博物館法第6条
博物館に関する科目と単位数が決まっている博物館法施行規則第1条
文部科学大臣が資格認定を行う博物館法施行規則第4条など

国の法律と省令で、要件から認定まで決められているんですね。この点が、国家資格と呼ばれる理由になっています。

文化庁はどう説明している?

文化庁は、学芸員になるための資格について「大学・短大で単位を履修すること」や「文部科学省で行う資格認定に合格すれば得ることができます」と説明しています。

そのうえで、「学芸員や学芸員補として活躍するには、博物館等で任用される必要があります」とも書いています。

つまり、資格を得ることと、学芸員として働くことは別の段階なんですね。

この記事での言い方

この記事では、学芸員資格を「博物館法に定められた資格」と呼びます。国家資格という言い方は、一般的な呼び方として紹介するにとどめます。

学芸員の任用資格とは?採用されて初めて学芸員になる仕組み

先に結論

学芸員資格が「任用資格」と呼ばれることがあるのは、資格を持っているだけでは学芸員を名乗れず、博物館に採用(任用)されて職に就いた時に初めて学芸員になるからです。

任用とは、ある人をその職に就かせることです。かみくだくと「採用されて、その仕事を任されること」ですね。

学芸員の任用資格とは、つまり「学芸員として採用される時に必要になる資格」という意味で使われている言葉です。

『資格を取ったら、自分で学芸員って名乗っていいんじゃないの?』と思った方もいるかもしれません。

博物館法第4条は、学芸員を「博物館に置く専門的職員」と定めています。博物館に置かれて初めて学芸員、という作りになっているんです。

例えばこんな場面で違いが出る

大学で学芸員課程を終えたばかりの人が、友達とこんな会話をしたとします。

「学芸員の資格、取れたよ」

「じゃあ、もう学芸員なんだね!」

実は、この時点ではまだ「学芸員資格を持っている人」です。博物館の採用試験に合格して学芸員の職に就いた時に、はじめて学芸員になります。

ほかの資格と比べてみると

資格の性格の違いを、ほかの資格と並べてみました。

資格得る方法資格を得たあと働くまで
学芸員資格大学で科目の単位を取る、または大臣の資格認定に合格大学ルートでは証明書は発行されない博物館に採用されて学芸員になる
司書資格大学で図書館に関する科目を取る、または司書講習を修了図書館に関する資格を持つ状態図書館に採用されて司書になる
教員免許教職課程で単位を取り、教育委員会に授与申請免許状が授与される学校に採用されて教員になる
試験合格で名乗れるタイプの資格(一般例)試験に合格し、登録する合格や登録で名乗れる自分で名乗って仕事ができることも

こうして比べると、学芸員資格は司書の資格と似た仕組みだと分かりますよね。

どちらも、大学で科目を学んで要件を満たし、そのうえで施設に採用されて初めてその職に就きます。

学芸員資格と他の資格の性格の違いを比べた図解

学芸員資格の価値はどこにある?

『採用されないと意味がないなら、資格に価値はあるの?』という疑問も出てきますよね。

学芸員の採用試験では、資格を持っていること(または取得見込み)を受験資格にしている例が多くあります。資格が無いと、そもそも応募できない募集があるということです。

学芸員資格が役に立つ場面
  • 資格を条件にした学芸員の採用試験に応募できる
  • 履歴書の資格欄に、博物館法の資格として書ける
  • 大学で学んだ博物館の基礎知識を、別の仕事にも活かせる
  • 文化財や資料に関わる仕事を探す時の土台になる

資格を活かせる仕事の幅は学芸員資格を活かせる仕事で紹介しています。

学芸員資格の種類と取り方

先に結論

博物館法で決まっている資格は「学芸員」と「学芸員補」の2種類です。学芸員資格を得るルートは、大学で単位を取る、学芸員補として3年以上働く、文部科学大臣の認定の3つがあります。

学芸員資格の種類というと、級や段階があるように思うかもしれませんね。

実は、学芸員資格に1級・2級のような区分はありません。法律にあるのは、学芸員と、その職務を助ける学芸員補の2つです。

区分主な要件役割
学芸員学士の学位があり、大学で博物館に関する科目(9科目19単位)を修得など博物館の専門的職員
学芸員補短期大学士の学位があり、博物館に関する科目を修得など学芸員の職務を助ける

『学芸員補も、国家資格の一つなの?』と思った方もいますよね。

学芸員補の資格も、博物館法第6条で要件が決まっています。令和4年の改正で、短期大学士の学位があり、博物館に関する科目を修得した人が学芸員補の資格を持つ形になりました。

学芸員補として3年以上働くと、学芸員の資格につながる道もあります。くわしくは学芸員補とは?で紹介しています。

学芸員資格のルートは次の3つです。

学芸員資格を得る3つのルート
  1. 大学で博物館に関する科目の単位を取り、学士の学位を得る
  2. 学芸員補になれる資格を持ち、3年以上学芸員補の職にある
  3. 文部科学大臣の資格認定(試験認定・審査認定)に合格する

「国家試験」に受かれば取れる?

文部科学大臣が行う資格認定には、筆記の「試験認定」と、書類で審査する「審査認定」があります。

ただ、どちらも受験資格が決まっていて、誰でも受けられる試験ではありません。文化庁は、資格認定を「あくまでも大学における学修を補完するもの」と位置づけています。

資格認定のくわしい流れは学芸員資格認定とは?で、ルートの選び方は学芸員資格の取り方で紹介しています。

学芸員資格を取りたいと思ったら、まずは学芸員養成課程のある大学を探すところから始めるのが近道です。通学・通信・卒業後の科目等履修で選べる大学が変わるので、資料で比べてみてください。

大学選び

学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる

学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。

資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る

(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)

学芸員資格に更新や有効期限はある?免許状はもらえる?

先に結論

博物館法と同施行規則には、学芸員資格の更新や有効期限の定めは見当たりません。大学で単位を取った場合、文部科学省から資格証明書や免許状は発行されていません。

『資格って、何年かごとに更新が必要なんじゃないの?』と心配な方もいますよね。

学芸員資格については、法令の本文に更新や有効期限の規定がありません。令和4年の法改正の時も、それまでに資格を持っていた人は、新しい法律でも資格を持つ者とみなされています。

平成24年に科目が9科目19単位に変わった時も、それより前に取った資格や単位は無効にならないとされました。

学芸員の免許状は無い

「学芸員免許」という言い方を耳にすることもありますよね。

ただ、教員免許のような免許状は、学芸員にはありません。大学で単位を取った場合は、次の書類で資格を証明します。

資格を得た方法資格を示す書類
大学で単位を修得卒業証明書と、博物館に関する科目の単位修得証明書
試験認定に合格合格証書(申請で合格証明書も交付)
審査認定に合格合格証書(申請で合格証明書も交付)
学芸員資格を得た方法ごとに資格を示す書類をまとめた図解
よくある勘違い

大学の学芸員課程を終えても、文部科学省から資格の証明書が届くわけではありません。採用試験の時は、大学で単位修得証明書を発行してもらいましょう。

履歴書での書き方は学芸員資格の正式名称と履歴書の書き方で紹介しています。

学芸員の国家資格についての知恵袋によくある相談

先に結論

知恵袋では「学芸員資格を取るべきか迷う」「国家試験でも取れる?」「博物館以外では使えないの?」といった相談がよく読まれています。

ここでは、学芸員の国家資格について読まれている相談を要約して答えていきます。

「学芸員資格を取るべきか迷っています」

大学で学芸員の単位を取り始めたけれど、続けるか迷っている、という相談です。とても多く読まれています。

迷う理由として多いのは、採用の枠が少ないことです。たしかに、学芸員の募集は多くありません。

ただ、資格が無いと応募できない募集が多いのも事実です。『いつか博物館で働くかもしれない』と少しでも思うなら、学生のうちに取っておくのは一つの考え方ですよ。

「なんで学芸員は国家資格なの?博物館以外では使えないの?」

学芸員資格の位置づけを不思議に思う、という相談です。

学芸員資格は、博物館法という国の法律に定められているため、国家資格と呼ばれることがあります。資格が前提にしている職場は、博物館法の博物館です。

ただ、博物館には美術館・科学館・動物園・水族館・植物園なども含まれます。働ける場所は、思っているより広いんです。

「学芸員の資格は、国家試験に合格しても取れますよね?」

大学に通う以外の方法を確かめたい、という相談です。

はい、文部科学大臣が行う資格認定の「試験認定」に合格する方法があります。筆記試験の科目は、博物館実習を除く8科目です。

ただ、受験資格が決まっていて、合格後に1年間の博物館資料関係の実務も必要です。今は隔年の実施なので、受けられる年も確かめておきましょう。

「学芸員免許と美術の教員免許、どちらがすごい?」

どちらの資格のほうが評価されるのか、という相談です。

学芸員資格と教員免許は、働く場所も役割も違います。どちらがすごいというより、博物館で働きたいか、学校で教えたいかで選ぶものなんです。

両方を大学で取る人もいます。時間割や実習の時期が重なりやすいので、早めに大学の課程の案内を確かめておくと安心ですよ。

よくある質問

学芸員は国家資格ですか?

博物館法という国の法律に定められた資格なので、一般に国家資格と呼ばれることもあります。ただ、文化庁などの公的なページで「国家資格」という言葉は使われていません。

学芸員の任用資格とはどういう意味ですか?

資格を持つだけでは学芸員を名乗れず、博物館に採用されて職に就いた時に学芸員になる、という性格を表す言い方です。

学芸員資格の更新は必要ですか?

博物館法と同施行規則には、更新や有効期限の定めは見当たりません。

博物館の学芸員の資格は、大学で何年かかりますか?

在学中に取る場合は、卒業までの4年間で9科目19単位を履修するのが一般的です。大学を卒業した人は、通信制大学や科目等履修で1年ほどかけて取る方法もあります。

学芸員資格の種類にはどんなものがありますか?

法律で決まっているのは学芸員と学芸員補の2つです。学芸員資格に1級・2級のような区分はありません。

まとめ

この記事の要点
  • 学芸員資格は博物館法に定められた資格で、一般に国家資格と呼ばれることもある
  • 任用資格と呼ばれるのは、博物館に採用されて初めて学芸員になるため
  • 資格の区分は学芸員と学芸員補の2種類
  • 法令に更新・有効期限の定めは見当たらない
  • 大学ルートでは免許状や証明書は出ず、卒業証明書と単位修得証明書で示す
学芸員ガイド

学芸員ガイド 編集部

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