当サイトは文化庁・文部科学省などの公的機関と、大学・博物館の公式サイトの公開情報をもとに編集部が独自に執筆しています。制度や募集の内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトで確認してください。記事内には広告を含む場合があります。
学芸員に憧れて調べ始めたら、「学芸員はやめとけ」「食えない」という言葉が出てきて、不安になった方も多いですよね。
結論から言うと、「やめとけ」と言われる理由の中には、統計や募集要項で確かめられる事実もあれば、人によって感じ方が違う話もあります。大事なのは、全部を同じ重さで受け止めないことです。
この記事では、よく言われる理由を3つに分けて、自分はどう向き合えばいいかを一緒に考えていきます。
学芸員はやめとけと言われるのはなぜ?
「学芸員はやめとけ」と言われる主な理由は、採用の枠が少ないこと、任期付きや非常勤の募集もあること、資格を取っても就職が約束されないことの3つです。どれも仕事そのものの価値を否定する話ではありません。
『そんなに言われるなら、やっぱり無理なのかな』と思ってしまいますよね。
でも実は、「やめとけ」という言葉は、仕事の中身よりも「なるまでの道のり」と「働き方の条件」について言われていることがほとんどなんです。
例えば、ネットでよく見かけるのはこんな声です。
- 資格を取っても、学芸員として採用されるのはひと握り
- 正規の募集が少なく、非正規だと生活が苦しい
- 大学の学芸員課程の授業や課題が思ったより大変
- 一つの館の学芸員の人数が少なく、一人で何役もこなす
それぞれの声が、どこまで事実なのかを順番に見ていきましょう。
| よく聞く声 | 確かめられること | どこで確かめる? |
|---|---|---|
| 採用されるのはひと握り | 1館あたりの学芸員の人数は少ない | 日本博物館協会の博物館総合調査 |
| 非正規が多い | 非常勤や任期付きの募集もある | 社会教育調査・各館の募集要項 |
| 食べていけない | 給与は勤め先と雇用形態で決まる | 給与条例・募集要項 |
| 課程がつらい | 9科目19単位と博物館実習がある | 文化庁・博物館法施行規則 |
学芸員という仕事の全体像は、学芸員とは?仕事内容・資格・なり方でまとめています。
理由を「事実・人による・工夫できる」の3つに分けて見る
「やめとけ」の理由は、変えられない事実、人によって感じ方が違うこと、自分の工夫で変えられること、の3つに分けると考えやすくなります。不安の正体が見えると、次に何をすればいいかも決めやすくなりますよ。
ネットの意見は、全部が同じ温度で書かれているわけではありません。
採用の枠のように数字で確かめられる話もあれば、「人間関係が大変」のように職場によって全然違う話もあります。

| 分類 | 中身の例 | 向き合い方 |
|---|---|---|
| 変えられない事実 | 1館あたりの学芸員が少ない/任期付きの募集もある/資格だけでは採用されない | 知ったうえで計画を立てる |
| 人によって違う | 地道な作業が楽しいか/一人で幅広く任される働き方が合うか/土日勤務が気になるか | 自分に合うかを確かめる |
| 工夫で変えられる | 専門分野を深める/公募の探し方を知る/資格を活かせる別の道も用意する | 今日から準備できる |
変えられない事実は「知ったうえで選ぶ」
1館あたりの学芸員の人数が少ないことは、統計で確かめられる事実です。ここは気合いで変えられる部分ではありません。
ただ、事実を知っていることは強みになります。『何となく憧れていた』状態より、ずっと現実的な準備ができるんです。
人によって違うことは「自分で確かめる」
「収蔵庫での地味な作業がつらい」と感じる人もいれば、「一番好きな時間」と感じる人もいます。
ここは他人の評価をそのまま信じず、博物館実習やボランティアで実際に体験してみるのが一番です。向き不向きは学芸員に向いている人・向いていない人でチェックできます。
工夫で変えられることは「早めに手を打つ」
専門分野の勉強や、募集情報の集め方は、今からでも準備できます。
例えば、大学2年生で文学部に通っている場合なら、こんな準備が考えられます。
- 卒業論文のテーマを、志望する館の分野に近づける
- 気になる館の募集要項を、毎年ためておく
- 学芸員課程と一緒に、司書や教員免許の科目も取れるか調べる
どれも、今の生活の中で少しずつ始められることです。『どうせ無理』と決めつける前に、自分で動かせる部分を探してみてください。
学芸員は食えない・食べていけないって本当?
学芸員の給料は「学芸員だから一律いくら」ではなく、勤め先と雇用形態で決まります。公務員なら給与条例と給料表、会計年度任用職員なら各自治体の決まり、それ以外は募集要項で確かめるのが確実です。
「学芸員は食えない」「食べていけない」という言葉、気になりますよね。
実は、学芸員だけを集めた公的な年収の統計は、この記事を書く時点では確認できていません。だからこそ、平均の数字より「自分が応募する募集の条件」を見ることが大事なんです。
給料はどうやって決まる?
公立の博物館で正規職員として働く場合、地方公務員として給与条例や給料表にもとづいて給料が決まります。国立の機関でも、募集要項に給与の決まり方が書かれています。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)にも学芸員のページがあります。仕事の説明を読む入口として使ってみてください。
| 雇用の形 | 給料の決まり方 | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| 自治体の正規職員 | 給与条例・給料表 | 採用試験の受験案内 |
| 会計年度任用職員 | 自治体ごとの規定 | 自治体の募集要項 |
| 国立機関の職員 | 機関の規程 | 各機関の公募要項 |
| 財団などの職員 | 法人ごとの規程 | 法人の募集要項 |
くわしい決まり方は学芸員の年収・給料|公務員の給与の決まり方で紹介しています。
「非正規だと苦しい」と言われる理由
「食えない」と言われる背景には、任期のある働き方があります。
会計年度任用職員は、総務省の説明では「一会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職」です。平成29年の法改正で制度ができ、令和2年4月1日から始まりました。
国立の機関でも、任期付きの募集があります。例えば九州国立博物館のアソシエイトフェローは契約期間が最長3年、国立工芸館の特定研究員は更新が採用日から5年を限度とされています。
『じゃあ非正規は選ばないほうがいいの?』と思った方もいますよね。
一概には言えません。任期付きの職で経験と実績を積み、次の公募につなげる人もいます。大事なのは、任期や更新の条件を応募前に読んでおくことです。
「学芸員」という職名だけで応募して、任期や更新の上限、勤務日数を後から知るケースです。募集要項の「雇用期間」「勤務条件」の欄は、最初に読んでおきましょう。
- 雇用期間と、更新の有無・上限
- 勤務日数と勤務時間、土日の勤務
- 給与の決まり方と、手当の有無
- 応募資格(学歴・学芸員資格・実務経験)
- 選考の流れ(書類・筆記・面接)
この5つを読んでから応募するだけで、「思っていたのと違った」というズレはかなり減らせます。
雇用の形の違いは学芸員の雇用形態|正規・非常勤・会計年度任用職員の違いで比べています。
学芸員の大変なこと・つらいと感じやすい場面
学芸員が大変だと感じやすいのは、人手が少ない中で収集・保管・展示・調査研究・教育普及を幅広く受け持つことです。博物館側も「職員数が不足」を課題に挙げています。
学芸員の仕事は、展示の企画だけではありません。文化庁は学芸員の主な職務として、資料の収集・整理、保管・保存、展示・活用、調査研究、教育普及活動の5つを挙げています。
『全部を一人でやるの?』と驚く方もいるかもしれませんね。
数字で見る「人手が少ない」
日本博物館協会の「令和6年度 日本の博物館総合調査」の速報では、典型的な館の姿(中央値)は、常勤職員3人、学芸員資格を持つ常勤職員1人でした。
同じ調査で、各館が「あてはまる」「まああてはまる」と答えた課題は次のとおりです。
| 博物館の課題(令和6年度 日本の博物館総合調査) | 割合 |
|---|---|
| 職員数が不足 | 73.2% |
| 調査研究が進んでいない | 72.6% |
| 職員の研修が不足 | 65.6% |
| 学芸系職員の力量が発揮できていない | 52% |
人が少ないぶん、一人の学芸員が任される範囲は広くなりがちです。「学芸員は大変」と言われるのは、ここが大きな理由なんです。
つらいと感じやすい場面のチェック
- 展示の準備と、来館者向けの講座の準備が重なる
- 調査研究の時間が、日々の業務で後回しになる
- 土日や祝日に勤務がある
- 一人で一つの分野を全部任される
- 採用前に、任期付きの職を何度か経験する
例えば、勤務日については埼玉県の学芸員採用選考の受験案内に「博物館・文書館勤務は土日を含む変則勤務」と書かれています。来館者が多い日に開館している以上、休日が平日になる働き方は珍しくありません。
例えば、企画展の準備が佳境の時期には、こんなやりとりもあるかもしれません。
「来週の講座の資料、まだ手を付けられていなくて」
「展示の解説パネルが先に終わりそうだから、明日の午後に一緒にやりましょう」
少ない人数で、目の前の仕事を分け合いながら回していく。そんな働き方になりやすいんです。
一方で、こうした場面を「大変だけど、それも含めて面白い」と感じる人もいます。ここからは、その「人によって違う」部分を見ていきます。
「やめとけ」を気にしすぎなくていい人・立ち止まりたい人
資料や研究への興味が強く、時間をかけて準備できる人は、「やめとけ」を気にしすぎなくて大丈夫です。
逆に、安定した正規の職に早く就くことを最優先にしたい人は、計画を一度立ち止まって考えてみてください。同じ「やめとけ」でも、受け取り方は人によって変わるんです。
- 好きな分野を長く調べ続けるのが苦にならない
- 大学院進学や任期付きの職も選択肢に入れられる
- 地道な資料整理や記録の作業が好き
- 公募を自分で探して何度も挑戦できる
- 卒業後すぐに安定した正規の職に就きたい
- 勤務地や休日の条件をあまり動かせない
- 展示の華やかな部分だけに興味がある
- 一度の不採用で目標を下ろしたくなる
『自分は右側に当てはまるかも』と思っても、がっかりしなくて大丈夫です。
条件が合わない時期があっても、学芸員の資格は法令に有効期限の定めがありません。いったん別の仕事に就き、条件が整ってから公募に挑戦するという道もあります。
「やめとけ」と言われた時の受け止め方
家族や先生に「やめておけ」と言われると、つらいですよね。
ただ、そう言う人の多くは、あなたの生活を心配しているんです。仕事をけなしているわけではない、と受け止めると話し合いやすくなります。
例えば、こんな話し方をしてみてください。
「採用が少ないのは分かってる。だから、教員免許や司書の資格も一緒に取って、両方の道を考えたい」
「卒業してすぐ正規で採用されなくても、任期付きの職で経験を積む計画を立ててる」
具体的な計画を見せると、心配している人も応援しやすくなりますよ。
学芸員を目指すなら、今からできる工夫
「やめとけ」の理由のうち、工夫で変えられる部分は意外と多いです。専門分野を深めること、公募の探し方を知ること、資格を活かせる別の道も用意しておくこと。この3つを早めに始めてみてください。
募集の条件を知っておく
国立の機関の募集では、修士の学位などを応募資格にしている例が目立ちます。例えば東京国立博物館の研究職員の選考案内では「修士の学位を有する者,あるいはこれと同等以上の研究・実務能力を有する者」とされていました。
自治体の採用では、埼玉県の令和8年度の学芸員採用選考の募集が、歴史(近世史)1名、歴史(近現代史)1名、地質学1名でした。分野ごとに1名ずつという募集もあるんです。
採用の倍率や難しさは学芸員の難易度と倍率|狭き門と言われる理由でくわしく見ています。
『大学院まで行かないと無理なの?』と不安になった方もいますよね。
すべての募集が大学院を求めているわけではありません。自治体の採用選考では、大学卒業程度の試験で、学芸員資格を受験資格にしている例もあります。志望先の募集要項を何年分か見比べて、どんな人が求められているかをつかんでおくと安心です。
公募の探し方を身につける
学芸員の募集は、各館や自治体のホームページで出ることが多いです。研究職の公募は、科学技術振興機構(JST)が運営するJREC-IN Portalにも載ります。

- 好きな分野(歴史・美術・自然科学など)を一つ決めて深める
- 学芸員課程のある大学で、博物館に関する科目を学ぶ
- 博物館実習やボランティアで現場を知る
- 大学院に進むかどうかを、志望先の応募資格を見て決める
- 各館・自治体・JREC-IN Portalで公募を定期的に確かめる
資格を活かせる別の道も用意する
学芸員の資格で学ぶ「資料を集めて、守り、伝える」力は、図書館や教育、文化行政の仕事にもつながります。
大学によっては、司書や社会教育士、教員免許と一緒に学べるところもあります。資格を活かせる仕事は学芸員資格を活かせる仕事で紹介しています。
学芸員を目指す道を考え始めたら、まずは学芸員課程のある大学を探すところからです。文化庁の博物館総合サイトによると、博物館に関する科目は国内の約300校の大学で開講されています。通学か通信か、他の資格と一緒に取れるかを資料で比べてみてください。
大学選び
学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる
学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。
資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)
学芸員やめとけについて知恵袋によくある相談
知恵袋では「やめとけとネットで見て迷っている」「学芸員課程がつらくてやめたい」「親に反対された」という相談がよく読まれています。どれも、事実と自分の気持ちを分けて考えると答えが出しやすくなります。
ここでは、読まれている相談を要約して答えていきます。
「司書や学芸員の資格はやめとけ、とネットで見ました」
資格を取っても採用は狭き門で、非正規では食べていくのが難しいと読んで、資格を取るか迷っているという相談です。とても多く読まれています。
採用の枠が少ないことは事実です。博物館総合調査でも、典型的な館の学芸員資格を持つ常勤職員は1人でした。
ただ、資格を取ること自体が損になるわけではありません。学芸員の資格は法令に有効期限の定めがなく、学んだ内容は他の文化・教育の仕事にもつながります。
『取るかどうか』より『取ったあとどう使うか』を先に考えると、迷いが減りますよ。
「学芸員課程がつらくて、履修をやめようか悩んでいます」
大学2年生で学芸員課程を取り始めたものの、早くもつらくて辞めたいという相談です。
博物館に関する科目は9科目19単位あり、最後に博物館実習もあります。卒業に必要な単位とは別に取るので、負担が大きいと感じるのは自然なことです。
続けるか迷った時は、次の2つを考えてみてください。
- 学芸員の仕事に今も興味があるか
- つらいのは課程の中身か、時間のやりくりか
時間のやりくりが原因なら、履修の時期をずらせないか大学に相談する手もあります。中身そのものが合わないと感じるなら、無理に続けず、別の進路に時間を使う判断も立派な選択です。
「学芸員になりたいと言ったら、親にやめておけと言われました」
資格を取っても仕事があるわけではない、と親に反対されたという相談です。
親の心配は、採用の少なさという事実にもとづいています。ここは否定せず、受け止めたうえで計画を見せるのが近道です。
例えば、学芸員の公募に挑戦しながら、教員免許や司書など別の資格も一緒に取る計画を話してみてください。「夢だけを追っているわけじゃない」と伝わると、話し合いが前に進みやすくなります。
よくある質問
学芸員はやめとけと言われるのはなぜですか?
1館あたりの学芸員の人数が少なく採用の枠が限られること、任期付きや非常勤の募集もあること、資格を取っても採用が約束されないことが主な理由です。仕事の価値を否定する話ではありません。
学芸員は食えないというのは本当ですか?
学芸員だけの公的な年収統計は確認できていません。給料は勤め先と雇用形態で決まるので、応募する募集要項の給与と任期の欄で確かめるのが確実です。
学芸員の大変なことは何ですか?
人手が少ない中で、資料の収集・保管・展示・調査研究・教育普及を幅広く受け持つことです。土日を含む勤務になる館もあります。
学芸員の離職率は分かりますか?
学芸員だけの離職率を示す公的な統計は、この記事では確認できていません。働き続けやすさは、館の規模や雇用形態によっても変わります。
学芸員を辞めたいと思ったら、資格は無駄になりますか?
無駄にはなりません。学芸員の資格は法令に有効期限の定めがなく、資料を扱う力は図書館や教育、文化行政などの仕事にもつながります。
まとめ
- 学芸員やめとけの声は、事実・人による・工夫できる、の3つに分けて受け止める
- 1館あたりの学芸員は少なく、任期付きや非常勤の募集もある
- 給料は勤め先と雇用形態で決まるので、募集要項で確かめる
- 大変なことは、少ない人数で幅広い仕事を受け持つこと
- 専門分野・公募の探し方・別の道の準備で、不安は減らせる





コメント