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学芸員の資格を取りたいけれど、大学に行けばいいのか、試験を受ければいいのか分からない。そんなふうに迷っている方も多いですよね。
結論から言うと、学芸員資格の取り方は3つのルートしかありません。そして、ほとんどの人が使うのは「大学で博物館に関する科目の単位を取る」ルートです。
この記事を読めば、今の自分の立場からどのルートを選べばいいかが分かります。
学芸員資格の取り方は3つのルートだけ
学芸員資格の取り方は、博物館法で3つに決まっています。①学士の学位を持ち、大学で博物館に関する科目の単位を取る ②学芸員補として3年以上働く ③文部科学大臣の資格認定(試験認定・審査認定)に合格する、の3つです。迷ったら①から考えるのが近道です。
学芸員の資格は、博物館法という法律に定められた資格です。一般に国家資格と呼ばれることもありますが、文化庁などの公的なページで「国家資格」という言葉は見つかっていません。
『資格試験に合格すればもらえるもの』と思っている方もいるかもしれませんね。実は、試験ルートはあくまで補助的な道なんです。
| ルート | 必要なもの | 向いている人 |
|---|---|---|
| ①大学で単位を取る | 学士の学位+博物館に関する科目9科目19単位 | 高校生・大学生・大卒の社会人 |
| ②学芸員補として働く | 学芸員補になれる条件+学芸員補の職に3年以上 | 学芸員補や司書などとして働いている人 |
| ③資格認定に合格する | 受験資格+筆記試験や書類審査、実務経験 | 大学で単位を取りにくい事情がある人 |
文化庁は、資格認定について「あくまでも大学における学修を補完するもの」と説明しています。
つまり、学芸員資格を取るには、まず大学で単位を取る道を考えるのが基本です。ほかの2つは、事情があって大学ルートが使いにくい人のための道だと考えておきましょう。

「資格を取る」と「学芸員として働く」は別のこと
ここが大事なところです。資格を取っただけでは、学芸員として働けるわけではありません。
文化庁も「学芸員や学芸員補として活躍するには、博物館等で任用される必要があります」と書いています。資格は、博物館の採用試験に応募するための入り口だと考えるとイメージしやすいです。
学芸員そのものについて全体像を知りたい方は、学芸員とは?仕事内容・資格・なり方から読むのもおすすめです。
一番多いのは大学で単位を取る学芸員資格の取得方法
学芸員資格の取得方法として、いちばん使われているのが大学ルートです。
条件は2つだけです。学士の学位を持っていること、そして大学で「博物館に関する科目」の単位を取ることです。
- 学士の学位を持っている(4年制大学の卒業など)
- 大学で博物館に関する科目9科目19単位を修得している
- 2つがそろえば、学芸員となる資格を持つ人になる
博物館に関する科目は9科目19単位
博物館に関する科目は、博物館法施行規則で決まっています。平成24年4月1日から、今の9科目19単位になりました。
| 科目 | 単位 |
|---|---|
| 生涯学習概論 | 2 |
| 博物館概論 | 2 |
| 博物館経営論 | 2 |
| 博物館資料論 | 2 |
| 博物館資料保存論 | 2 |
| 博物館展示論 | 2 |
| 博物館教育論 | 2 |
| 博物館情報・メディア論 | 2 |
| 博物館実習 | 3 |
『19単位ってけっこう多いのかな』と思うかもしれません。実は、卒業に必要な単位とは別に取るケースが多く、時間割にどう入れるかがポイントになります。
科目の中身をもっと知りたい方は、学芸員資格に必要な科目と単位数で一つずつ紹介しています。
いちばんの山場は博物館実習
9科目のうち、博物館実習だけは教室の授業では終わりません。博物館や、博物館に相当する施設として指定された施設で実習をします。
大学での事前・事後の指導も、博物館実習に含まれます。文化庁のガイドラインでは、館での実習は延べ30時間から45時間程度以上、計5日以上が目安です。
博物館実習は、受け入れ先や時期が限られています。例えば通信制の八洲学園大学は、多くの博物館が7〜8月ごろに実習期間を設け、3月末〜4月初めに実習生を募集すると案内しています。申し込みの時期を逃すと、資格取得が半年から1年ずれることもあります。
在学中に取るか、卒業後に取るか
大学ルートは、在学中に取る方法と、卒業後に取る方法に分かれます。
| タイミング | 学び方 | ポイント |
|---|---|---|
| 在学中 | 自分の大学の学芸員課程を履修 | 卒業と同時に資格がそろう |
| 卒業後 | 通信制大学の課程や科目等履修生 | 学士がすでにあるので科目だけ取ればよい |
| 卒業後(一部だけ不足) | 足りない科目だけ別の大学で履修 | 単位修得証明書を組み合わせて証明する |
卒業後に取る方法は、科目等履修生で学芸員資格を取る方法や通信制大学で学芸員資格を取る流れで詳しく紹介しています。
学芸員資格試験で取る方法(資格認定)
『学芸員資格試験に合格すれば取れるんですよね?』という質問もよく見かけます。
試験で取る道は、文部科学大臣が行う「学芸員資格認定」です。試験で選ぶ「試験認定」と、書類で選ぶ「審査認定」の2つがあります。
- 筆記試験で8科目を受ける
- 博物館実習は試験科目にない
- 何年かに分けて1科目ずつ受けられる
- 筆記試験はなく書類で審査する
- 修士の学位や長い実務経験などが必要
- 著書・論文・報告などを提出する
試験認定の受験資格と流れ
試験認定の受験資格は、博物館法施行規則第5条で決まっています。
- 大学院に入学できる人(大学を卒業した人など)
- 大学に2年以上在学して62単位以上を修得し、博物館資料関係の実務が2年以上ある人
- 大学に入学できる人で、博物館資料関係の実務が4年以上ある人
- 教員の普通免許状を持ち、教員として2年以上働いた人
- ほかに大臣が同等以上と認めた人
試験科目は、生涯学習概論から博物館情報・メディア論までの8科目です。大学で相当する科目の単位を取っていれば、願い出によってその科目は免除されます。
ただ、筆記に全部受かっても、それで終わりではありません。合格後に1年間、博物館資料関係の実務を行い、大臣の認定を受けてはじめて「試験認定合格者」になります。
- 受験資格を満たしているか確認する
- 出願期間に書類を郵送で出す(手数料は1科目1,300円)
- 筆記試験を受ける(何年かに分けて受けてもよい)
- 全科目に合格すると「筆記試験合格者」になる
- 1年間、博物館資料関係の実務を行う
- 試験認定合格申請書を出し、大臣の認定を受ける
実務1年の目安は、受験案内で「1日7時間45分・年間220日程度の勤務で1年」とされています。常勤か非常勤かは問わず、博物館類似施設での勤務も対象になります。
試験は2年に1回のペース
資格認定は、令和6年度から試験認定と審査認定を1年ごとに交互に行う形になりました。
| 年度 | 実施されるもの |
|---|---|
| 令和8年度 | 試験認定 |
| 令和9年度 | 審査認定 |
| 令和10年度以降 | 同じ順で繰り返し(必要に応じて見直し) |
令和8年度の試験認定は、出願期間が7月16日から9月2日、試験日が12月17日・18日で、会場は東京でした。
受けたい年度に試験がないこともあるので、文化庁の学芸員の資格認定についてで最新の案内を見ておきましょう。
文化庁の公表では、令和6年度の試験認定は出願者84人、合格者(筆記試験合格者)50人、科目合格者21人でした。令和7年度の審査認定は出願者129人、合格者84人です。
試験ルートの詳しい流れは、学芸員資格認定(試験認定・審査認定)とはにまとめています。
学芸員補として3年働いて取るルート
3つ目は、学芸員補として働いた経験で取る道です。博物館法第5条では、学芸員補になれる条件を満たした人が、3年以上学芸員補の職にあると学芸員の資格を持てると定めています。
『そもそも学芸員補にはどうやってなるの?』と思いますよね。学芸員補になれるのは、例えば次のような人です。
- 短期大学士の学位を持ち、博物館に関する科目の単位を取った人
- 大学に2年以上在学し、博物館に関する科目を含めて62単位以上を取った人
- 高等専門学校の卒業者などで、大学で博物館に関する科目の単位を取った人
学芸員補の職と同じ扱いになる職もあります。平成8年の文部省告示では、社会教育主事や司書、教育委員会で資料の業務をする職員などが挙がっています。
このルートが向いている人
このルートは、短大卒などで学士を持っていない人が、働きながら資格を目指す時の道です。
ただ、学芸員補の採用そのものが少ないのも事実です。令和6年度の社会教育調査では、博物館の学芸員補は597人で、学芸員の5,618人に比べてかなり少なくなっています。
学芸員補という職について詳しくは、学芸員補とは?仕事内容と学芸員補になるにはで紹介しています。
立場別に選ぶ、学芸員資格を取るには最短どれ?
ここからは、自分の立場から「どのルートが最短か」を選んでいきます。
同じ学芸員資格でも、高校生と社会人では取りやすい道がまったく違います。下の表で、今の自分に近い行を探してみてください。
| 今の立場 | 学士の有無 | 最短になりやすいルート | 最初にやること |
|---|---|---|---|
| 高校生 | まだない | 学芸員課程のある大学に進学 | 志望大学に課程があるか調べる |
| 大学生(課程あり) | 卒業見込み | 在学中に学芸員課程を履修 | 履修登録の時期と実習の学年を確認 |
| 大学生(課程なし) | 卒業見込み | 卒業後に通信や科目等履修で取る | 卒業後に入れる大学を調べておく |
| 大卒の社会人 | ある | 通信制大学や科目等履修で9科目を取る | 入学時期と実習先の決め方を比べる |
| 短大・高専卒 | ない | 大学に編入して学士を取る、または学芸員補ルート | 編入できる通信制大学を調べる |
| 博物館で実務経験がある人 | 人による | 資格認定(試験認定・審査認定) | 受験資格に当てはまるか確認 |

高校生なら「課程がある大学」を選ぶだけでいい
高校生のうちは、難しく考えなくて大丈夫です。学芸員課程のある大学に入れば、卒業と同時に資格がそろいます。
文化庁の博物館総合サイトでは、博物館に関する科目を開講している大学は約300校とされています。何学部で取れるかは大学ごとに違うので、学芸員資格が取れる大学の選び方も見てみてください。
大学生なら、履修を始める学年をチェック
大学によって、学芸員課程を何年生から始めるかが違います。19単位を卒業の単位とは別に取ることが多いので、早めに計画しておくと楽になります。
『4年生になってから取ればよかったと気づいた』という声もよく聞きます。それでも卒業後に取る道はあるので、あきらめなくて大丈夫です。
社会人・大卒者は「学士がある」のが強み
すでに大学を卒業している方は、学士の条件をクリアしています。あとは博物館に関する科目を取るだけです。
例えば京都芸術大学の通信教育部は、学士を持つ人を対象に、資格に必要な科目を1年間で履修できる科目等履修の制度を案内しています。八洲学園大学も、学芸員資格の最短期間を「1年~」としています。
- 入学できる時期(4月だけか、10月もあるか)
- 博物館実習の実習先を自分で探すのか、大学が用意するのか
- スクーリング(通学して受ける授業)が何日あるか
- 学費の総額と、テキスト代など別にかかるお金
働きながらのスケジュールの立て方は、社会人が学芸員資格を取る方法で詳しく紹介しています。
短大卒・高卒の場合
短大卒の方は、そのままでは学士の条件を満たしません。通信制大学に編入して学士を取りながら科目も取る方法や、学芸員補として働く方法を考えることになります。
高卒の方は、まず大学に入って学士を目指すのが基本です。詳しくは短大・専門学校・高卒から学芸員資格は取れる?で紹介しています。
資格を取る道が見えてきたら、次は実際に課程のある大学を探して、資料で比べてみる番です。学費や実習の扱いは大学ごとにかなり違うので、気になる大学をいくつか並べてみてください。
大学選び
学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる
学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。
資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)
資格を取ったあとの「証明の仕方」も知っておこう
大学ルートで学芸員資格を取った場合、資格証明書のようなものはもらえません。ここは意外と知られていないところです。
文化庁によると、学芸員資格証明書の交付は昭和42年に取りやめられています。
- 卒業証明書(学士を持っていることの証明)
- 博物館に関する科目の単位修得証明書
- いくつかの大学で分けて取った場合は、それぞれの単位修得証明書をあわせて出す
採用試験に応募する時は、これらの書類を任命権者(教育委員会など博物館を管理するところ)に出します。
『学芸員資格の確認方法が分からない』という方は、出身大学の成績証明書や単位修得証明書を取り寄せてみてください。9科目19単位がそろっていれば、資格を持っていると分かります。
博物館実習だけ取っていない、という状態だと資格はそろっていません。在学中に途中でやめた方は、どの科目が足りないかを先に確かめておきましょう。
資格の有効期限や更新は、博物館法と施行規則に定めがありません。昔取った資格についても、平成24年の科目改正前に取った資格や単位は無効にならないとされています。
履歴書での書き方は、学芸員資格の正式名称と履歴書の書き方を参考にしてみてください。
学芸員資格の取り方でよくある相談
ここでは、学芸員資格の取り方についてよく見かける相談を3つ取り上げます。内容は要約しています。
相談1 大学4年生。課程を取らなかったことを後悔している
学芸員になれないと思って課程を取らなかったけれど、卒業間近になって後悔している、という相談です。
結論から言うと、卒業後でも十分に取れます。学士を持って卒業すれば、あとは博物館に関する科目を通信制大学や科目等履修生で取ればいいんです。
在学中より学費はかかりますが、働きながら取る人もいます。まずは卒業後に入れる大学と、入学できる時期を調べておきましょう。
相談2 20代後半で転職活動中。今から資格を取っても意味がある?
転職を考えている社会人の方が、今から学芸員資格を取るべきか迷っている相談です。
資格を取ること自体は、大卒なら1年ほどで目指せる大学もあります。ただ、学芸員の採用は数が少なく、修士の学位を求める募集もあります。
| 確認したいこと | 調べ方 |
|---|---|
| 応募したい館の募集条件 | 自治体や館の採用ページで募集要項を見る |
| 学歴の条件 | 修士以上が条件か、学士でよいか |
| 資格の条件 | 取得見込みでも応募できるか |
資格を取る前に、実際の募集を一度見ておくと、取るべきかどうかの判断がしやすくなります。転職の進め方は未経験・社会人から学芸員に転職するにはで紹介しています。
相談3 認定試験と大学の単位、何が違うの?
学芸員の資格試験と、大学で単位を取る方法の違いを知りたいという相談です。
いちばんの違いは、博物館実習の扱いです。大学ルートは実習を含む9科目19単位を取りますが、試験認定は8科目の筆記のあとに1年間の実務が必要になります。
また、試験認定は2年に1回のペースで、受験資格もあります。博物館で働いた経験がない人には、大学ルートのほうが進めやすいことが多いです。
よくある質問
学芸員資格の取り方で、一番早いのはどれですか?
大学を卒業している人なら、通信制大学や科目等履修生で博物館に関する科目を取る方法が早いことが多いです。京都芸術大学の通信教育部や八洲学園大学のように、1年での取得を案内している大学もあります。ただし博物館実習の時期によっては、もう少しかかることもあります。
学芸員資格試験だけで資格は取れますか?
試験認定に合格する道はあります。ただし受験資格が必要で、8科目の筆記に合格したあとに1年間の博物館資料関係の実務を行い、大臣の認定を受けて試験認定合格者になります。試験は2年に1回のペースです。
高校生ですが、今から何をしておけばいいですか?
学芸員課程のある大学を探しておくのがおすすめです。大学によって、学芸員課程を何年生から始めるかや、実習の受け入れ先が違います。興味のある分野(歴史・美術・自然科学など)から学部を考えてみてください。
学芸員資格に有効期限はありますか?
博物館法と施行規則に、更新や有効期限の定めはありません。平成24年の科目改正より前に取った資格や単位も、無効にはならないとされています。
学芸員資格を取るには、どこの大学を出たかが重要ですか?
資格の条件としては、学士の学位と博物館に関する科目の単位がそろっていれば、どの大学かは問われません。ただ、採用試験では大学院での研究や専門分野を見られることがあります。
まとめ
学芸員資格の取り方は、大学で単位を取る・学芸員補として働く・資格認定の3つです。多くの人にとっては、大学で博物館に関する科目を取る道がいちばん進めやすいはずです。
今の立場によって近道は変わります。高校生なら課程のある大学選び、大卒の方なら通信制や科目等履修から考えてみてください。
- 学芸員資格の取り方は博物館法で決まった3ルートだけ
- 基本は「学士+大学で博物館に関する科目9科目19単位」
- 資格認定(試験認定・審査認定)は大学での学修を補う道で、2年に1回のペース
- 大卒の社会人は通信制大学や科目等履修生で1年ほどを目指せる大学もある
- 資格証明書はなく、卒業証明書と単位修得証明書で証明する





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