学芸員養成課程の科目と単位数|博物館に関する科目の一覧

博物館学の本とノート、資料を扱う道具が並ぶ机に、学芸員養成課程の科目と単位数を紹介する記事タイトル

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大学の履修案内で「学芸員養成課程」という言葉を見つけて、どんな科目を何単位取るのか気になっている方も多いですよね。

結論から言うと、学芸員資格に必要なのは「博物館に関する科目」の9科目19単位です。8科目は教室の授業で、残りの1科目が博物館での実習になります。

この記事を読めば、学芸員の科目一覧と単位数、授業の内容、そして4年間の時間割にどう入れるかまで見通せます。

目次

学芸員養成課程とは?大学で学ぶ「博物館に関する科目」のこと

先に結論

学芸員養成課程は、大学で「博物館に関する科目」を履修するための課程です。大学によっては「学芸員資格課程」「博物館学芸員課程」などと呼ばれます。学士の学位と、この科目の単位がそろうと学芸員となる資格を持てます。

学芸員は、博物館法という法律に定められた資格です。博物館法第5条では、学士の学位を持ち、大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を取った人を、学芸員となる資格を持つ人としています。

その「文部科学省令の定める科目」を大学で学べるようにしたのが、学芸員養成課程なんです。

『学部の勉強とは別に取るものなの?』と思う方もいるはずです。多くの大学では、学部の専門科目とは別の枠で開講されています。

例えば歴史学科の学生でも、美術学科の学生でも、理学部の学生でも、課程がある大学なら同じ9科目を取ることになります。

学芸員養成課程がある大学はどのくらい?

文化庁の博物館総合サイトでは、博物館に関する科目は「国内の約300校の大学で開講されている」と紹介されています。

開講している大学は、文化庁の「学芸員養成課程開講大学一覧」で確かめられます。一覧には、通信課程を置く大学の印や、在学生しか受講できない大学の印も付いています。

一覧を見る時のポイント
  • 通信課程を置く大学かどうかの印を見る
  • 在学生のみ受講できる大学かどうかの印を見る
  • 一覧に載っていても、学部によって取れないことがあるので大学の履修要項で確かめる

学芸員養成課程のある大学を選ぶ時の考え方は、学芸員資格が取れる大学|学部・学科の選び方で詳しく紹介しています。

学芸員に必要な単位は9科目19単位|科目の一覧

学芸員の必要単位は、博物館法施行規則第1条で決まっています。平成21年4月30日の施行規則の改正で、平成24年4月1日から今の9科目19単位になりました。

科目単位数授業の形
生涯学習概論2講義
博物館概論2講義
博物館経営論2講義
博物館資料論2講義
博物館資料保存論2講義
博物館展示論2講義
博物館教育論2講義
博物館情報・メディア論2講義
博物館実習3学内の実習と博物館での実習
合計19

8科目が2単位ずつで16単位、博物館実習が3単位で、学芸員資格の単位数は合計19単位です。

『19単位って、けっこう重たい?』と感じた方もいますよね。授業1コマが2単位の大学なら、講義8コマと実習という見通しになります。

平成24年より前に取った単位がある方へ

施行規則が変わる前に取った資格や単位は、無効にはなりません。ただ、昔の科目名と今の科目名が違うので、続きを取る大学で「どの科目に当たるか」を確かめておきましょう。

学芸員の必修科目と選択科目は?

法令で決まっている9科目は、資格を取るためにすべて必要です。つまり、資格の上では9科目とも必修だと考えておけば間違いありません。

大学によっては、この9科目に加えて独自の選択科目を置いていることもあります。その場合、資格に足りる単位数は大学ごとに少し増えるので、履修要項の「学芸員課程」のページを見ておきましょう。

学芸員資格の単位と卒業単位の関係

学芸員の科目が卒業単位に入るかどうかは、大学によって違います。

例えば、奈良大学の通信教育部は、卒業に必要な単位とは別に博物館学芸員資格の科目を修得すれば、卒業と同時に資格を取れると案内しています。

卒業単位とは別枠になる大学では、そのぶん履修の負担が増えます。「何単位多く取ればいいか」を、1年生のうちに数えておくと安心です。

学芸員の授業は何をする?科目ごとの内容

ここからは、学芸員の授業内容を科目ごとに見ていきます。授業の進め方は大学ごとに違うので、科目名から読み取れる「学ぶ中心」をつかんでおきましょう。

学芸員資格の内容をひと言で

博物館の仕事を「資料を集める・守る・見せる・伝える・調べる」に分けて、それぞれの考え方を学ぶのが博物館に関する科目です。文化庁も学芸員の主な職務を、収集・整理、保管・保存、展示・活用、調査研究、教育普及の5つで示しています。

生涯学習概論と博物館概論は「土台」の科目

生涯学習概論は、学校の外で人が学ぶことについて考える科目です。博物館は、社会教育の施設として位置づけられているからです。

博物館法第1条も、社会教育法と文化芸術基本法の精神に基づくと書いています。

博物館概論は、博物館とは何か、どんな種類があるかを学ぶ入り口の科目です。登録博物館や指定施設の違いも、ここで出てくることが多いはずです。

資料論と資料保存論は「モノ」を扱う科目

博物館資料論は、博物館が集める資料の種類や、集め方・整理のしかたを学ぶ科目です。

博物館資料保存論は、集めた資料を傷めずに残すための考え方を学びます。光や湿度、虫やカビなど、資料を取り巻く環境の話が中心になります。

展示論・教育論・情報メディア論は「見せる・伝える」科目

博物館展示論は、展示をどう組み立てるかを学ぶ科目です。博物館教育論は、来館者向けの講座や体験学習など、教育普及活動の考え方を学びます。

博物館情報・メディア論は、資料の情報をどう記録し、発信するかを学びます。

令和4年の博物館法改正で、資料のデジタル・アーカイブ化が博物館の事業に加わりました。この科目の話題は、今後さらに身近になりそうです。

博物館経営論は「館を動かす」科目

博物館経営論は、博物館を運営するしくみを学ぶ科目です。お金や人の配置、地域との連携など、館全体を見る目を育てます。

改正後の博物館法第3条では、ほかの博物館や地域の団体と連携することが努力義務になりました。経営論の授業でも、こうした連携の話が出てくるかもしれません。

その科目、博物館のどんな仕事で役に立つ?

『授業は分かったけど、実際の仕事とどうつながるの?』という疑問もありますよね。ここでは、科目と博物館の仕事の場面を結び付けて見てみます。

この表の見方

左の列が科目、まん中が博物館の仕事の場面、右が「授業を受けたあとにできるようになりたいこと」です。授業を受ける前に眺めておくと、ノートの取り方が変わってきます。

科目博物館の仕事の場面できるようになりたいこと
生涯学習概論地域の講座や学校との連携を考える時博物館を学びの場として説明できる
博物館概論自分の館がどの種類の博物館かを知る時登録博物館と指定施設の違いを話せる
博物館経営論来年度の事業計画を立てる時館の目的と事業をつなげて考えられる
博物館資料論寄贈の申し出を受けた時受け入れる資料かどうかを判断する観点を持てる
博物館資料保存論収蔵庫の環境を点検する時資料を傷める原因に気づける
博物館展示論企画展の展示ケースを並べる時見る人の動きを考えて配置できる
博物館教育論夏休みの子ども向け講座を企画する時年齢に合わせた伝え方を考えられる
博物館情報・メディア論資料をデータベースやウェブで公開する時記録の残し方と公開の注意点が分かる
博物館実習実際の資料や展示作業に触れる時学んだことを現場の作業に結び付けられる

例えば、寄贈の相談を受けた場面を考えてみます。「この資料、博物館で預かってもらえますか」と聞かれた時に、資料論と保存論の知識があると、何を確かめればいいかが見えてきます。

展示の場面でも同じです。「この順番だと、お客さんが途中で迷いそうだね」と気づけるのは、展示論で見る人の視点を学んでいるからなんです。

博物館に関する科目と博物館の仕事の場面を結び付けた図解
学芸員以外の道でも使える科目

生涯学習概論は、司書や社会教育主事の講習・科目と共通する部分があります。文部科学省の告示では、それぞれの生涯学習概論の学修を互いに相当するものとして扱っています。司書との違いは学芸員と司書・教員免許の違いで紹介しています。

博物館実習の3単位は何をする?

9科目の中で、いちばん準備が必要なのが博物館実習です。ここが大事なところなので、しっかり見ておきましょう。

博物館法施行規則第2条では、博物館実習は博物館や、博物館に相当する施設として指定された施設での実習で修得すると決まっています。大学がこれに準ずると認めた施設も含みます。

そして、大学での事前と事後の指導も、博物館実習に含まれます。

博物館実習の流れ(文化庁ガイドラインの目安)
  1. 学内実習で、見学実習や資料の扱い方の実務実習をする
  2. 事前指導で、実習先のことや心構えを学ぶ
  3. 館園実習で、博物館の現場に入って作業を経験する
  4. 事後指導で、実習を振り返って記録をまとめる

文化庁の「博物館実習ガイドライン」(令和6年6月版)では、学内実習は2単位相当以上、延べ60時間から90時間程度以上が望ましいとされています。

博物館での館園実習は、1単位相当以上、延べ30時間から45時間程度以上、計5日以上が目安です。延べ80時間以上・計10日以上の「長期実践型」という形もあります。

実習の種類単位の目安時間・日数の目安
学内実習2単位相当以上延べ60時間から90時間程度以上
館園実習(通常)1単位相当以上延べ30時間から45時間程度以上、計5日以上
館園実習(長期実践型)1単位相当以上延べ80時間以上、計10日以上
博物館実習で白い手袋をして資料を扱う手元の様子

ガイドラインは「この通りにしなければならない」という決まりではなく、参考となる目安です。実際の日数や内容は、大学と受け入れ館の取り決めで変わります。

館園実習は、学芸員養成課程の最終段階で行うのが基本とされています。つまり、講義の8科目を先に進めておくことが、実習にたどり着く近道なんです。

実習の受け入れ先の探し方や服装の準備は、博物館実習とは?内容・受け入れ先・服装の準備でまとめています。

学芸員養成課程の大学と、4年間の時間割への入れ方

『19単位を、いつ、どの順番で取ればいいの?』と迷う方も多いはずです。ここでは、在学中に取る場合の一つの例を時期ごとに見てみましょう。

時間割の考え方

講義8科目を早めに進め、館園実習は最終段階に置くのが基本です。実習の申し込みは前年度から動くこともあるので、逆算して計画しておきましょう。

時期やること気をつけたいこと
1年生課程の説明会に出る・履修要項を読む登録の締め切りと、卒業単位に入るかを確かめる
2年生概論系の講義を中心に取る学部の必修と時間が重ならないか見る
3年生資料・展示・教育などの講義を進める実習先の希望を考え、申し込み時期を確かめる
4年生学内実習と館園実習・事前事後指導就職活動や卒業研究との日程の重なりに注意

これはあくまで一つのモデルです。大学によっては2年生から課程が始まったり、学内実習を3年生で行ったりします。

例えば、教職課程と両立したい場合は、教育実習と博物館実習の時期が近くなることがあります。「この時期はどちらの実習ですか?」と、早めに課程の窓口に聞いておくと安心です。

学芸員養成課程を在学中に4年間で履修する流れを時期ごとに示した図解
学芸員養成課程の大学を選ぶ時のチェック
  • 自分の学部・学科から課程を取れるかを確かめる
  • 学芸員の科目が卒業単位に入るかを確かめる
  • 館園実習の実習先を大学が用意するか、自分で探すかを確かめる
  • 教職課程や司書課程と時間割が重ならないかを確かめる
  • 課程の登録時期と、途中から入れるかを確かめる

ここまで読んで「課程のある大学を、もう少し具体的に見てみたい」と思った方もいるかもしれません。まずは学芸員養成課程を開講している大学を探し、資料で比べてみるところから始めてみてください。

大学選び

学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる

学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。

資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る

(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)

単位が足りない時・途中でやめた時はどうする?

ここが意外と知られていないところです。博物館法施行規則第1条第2項では、すでに大学で取った科目の単位は、必要な単位に替えられると決まっています。

ですから、在学中に何科目か取ってやめてしまった場合でも、取った単位は無駄になりません!卒業後に、足りない科目だけを別の大学で取ることができます。

状況考えられる進め方
講義が数科目足りない科目等履修生として足りない科目だけを取る
講義はそろったが実習だけ残った博物館実習のみの科目履修を受け入れている大学を探す
卒業後に一から取りたい通信制大学の学芸員課程や科目等履修を使う
試験認定で合格した科目があるその科目は必要な単位に替えられる

実習だけが残った方には、うれしい情報もあります!文化庁は、博物館実習のみの科目履修を受け入れている大学を一覧にしています。

令和8年8月1日現在で載っているのは、北洋大学、和光大学、武蔵野音楽大学、新潟産業大学、久留米大学、鹿児島国際大学の6校です。受講人数に制限があることもあるので、事前に各大学へ相談する形です。

放送大学では、博物館に関する科目のうち8科目16単位を取れますが、博物館実習は取れません。その場合は、実習を履修する大学を別に確保しておく必要があります。

卒業後に足りない科目を取る方法は、科目等履修生で学芸員資格を取る方法で詳しく紹介しています。

証明の仕方も知っておこう

大学で単位をそろえても、文部科学省から資格証明書は発行されません。学芸員として採用される時は、卒業証明書と博物館に関する科目の単位修得証明書を出します。複数の大学で分けて取った場合も、すべての科目がそろっていれば証明できます。

学芸員の単位・科目でよくある相談

ここでは、学芸員の単位や科目について、よく見かける相談を取り上げます。内容は要約しています。

相談1:単位を取り始めたけど、資格を取るべきか迷っている

大学で学芸員の単位を取り始めたものの、就職が厳しいと聞いて続けるか迷っている、という相談です。

『取っても意味がないなら、ほかの勉強に時間を使いたい』という気持ちは自然です。ただ、すでに取った単位はあとから資格に使えます。

続けるか迷った時に見ること
  • 残りの単位数と、実習までの時期を数える
  • 学部の勉強や就職活動と重なる時期を書き出す
  • 博物館や資料に関わる仕事にどれくらい興味があるかを考える
  • やめる場合も、取った単位の成績証明書は手元に残しておく

「いったん止めて、あとで科目等履修で続きを取る」という選び方もあります。今やめたら終わり、ではないので落ち着いて考えてみてください。

相談2:単位数を見て、大変そうで取るか迷っている

大学2年生から課程が始まるけれど、単位数を見てとても大変そうだと感じた、という相談もあります。

正直に言うと、卒業単位とは別に取る大学では負担は増えます。ただ、講義は2単位ずつの8科目なので、学期ごとに分ければ1学期あたり2科目程度に収まる計算です。

例えば2年生から3年生の4学期で講義8科目を取ると、1学期あたり2科目になります。そのうえで、最終段階に博物館実習を置く形です。

相談3:高校生で、学芸員養成課程のある大学を選びたい

高校1年生の理系で、地元の博物館で働くために学芸員資格を取りたい、どう大学を選べばいいか、という相談です。

理系でも、学芸員養成課程のある大学なら資格を取れます。自然史の博物館や科学館、水族館なども博物館の仲間です。

まずは文化庁の開講大学一覧で、行きたい分野の学部がある大学に課程があるかを確かめてみましょう。そのうえで、自分の学部から課程を取れるかを各大学の案内で見ておくと安心です。

よくある質問

学芸員の資格に必要な単位数は何単位ですか?

博物館に関する科目の9科目19単位です。講義8科目が2単位ずつで16単位、博物館実習が3単位です。これに加えて学士の学位が必要になります。

学芸員養成課程の科目は大学ごとに違いますか?

資格に必要な9科目は博物館法施行規則で決まっているので、どの大学でも同じです。ただ、大学によっては独自の科目を加えていたり、授業の進め方が違ったりします。

学芸員の授業はオンラインでも受けられますか?

通信制大学の中には、講義をオンラインで学べる大学があります。ただ、博物館実習は博物館などでの実習とスクーリングが必要になることが多く、すべてを自宅で終えるのは難しいです。

途中で学芸員養成課程をやめたら、取った単位は無駄になりますか?

無駄にはなりません。すでに大学で取った科目の単位は、必要な単位に替えられると施行規則で決まっています。卒業後に足りない科目だけを科目等履修生として取る方法もあります。

学芸員の資格に有効期限はありますか?

博物館法と施行規則の本文には、資格の更新や有効期限の定めは見当たりません。平成24年の科目改正より前に取った資格や単位も、無効にはならないと文化庁が案内しています。

まとめ

学芸員養成課程で学ぶのは、博物館に関する科目の9科目19単位です。講義の8科目で考え方を学び、最後に博物館実習で現場に触れる流れになります。

時間割を考える時は、実習から逆算して講義を早めに進めておきましょう。

この記事の要点
  • 学芸員資格は学士の学位と、博物館に関する科目9科目19単位で取れる
  • 講義8科目が各2単位、博物館実習が3単位
  • 科目は博物館の「集める・守る・見せる・伝える・調べる」につながる
  • 館園実習は課程の最終段階が基本なので、講義を早めに進める
  • 途中でやめても、取った単位はあとで使える

学芸員資格の全体像は学芸員とは?仕事内容・資格・なり方から確かめられます。取り方のルートを比べたい方は学芸員資格の取り方|3つのルートも読んでみてください。

学芸員ガイド

学芸員ガイド 編集部

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