学芸員に向いている人・向いていない人|やりがいと魅力

作業室で標本を扱う手元に「向いている人」の文字

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学芸員になりたい気持ちはあるけれど、『自分って学芸員に向いている人なのかな』と迷っている方も多いですよね。

結論から言うと、学芸員に向いている人は「好きな分野を長く調べ続けられて、それを人に伝えるのも楽しめる人」です。性格の明るさやおとなしさは、それほど関係ありません。

この記事では、学芸員の仕事の場面ごとにセルフチェックをしながら、向いている人・向いていない人の特徴と、仕事のやりがいや魅力をお話しします。

目次

学芸員に向いている人はどんな人?

先に結論

学芸員に向いている人の共通点は、資料や研究への興味が長続きすること、地道な作業をていねいに続けられること、調べたことを人に伝えるのが好きなことの3つです。

学芸員の仕事は、展示の企画だけではありません。

文化庁は学芸員の主な職務として、資料の収集・整理、保管・保存、展示・活用、調査研究、教育普及活動の5つを挙げています。博物館法第4条でも、学芸員は資料の収集・保管・展示・調査研究などの「専門的事項をつかさどる」と定められています。

『つまり、何でも屋さんみたいな仕事?』と思った方もいるかもしれませんね。

実はその通りで、一つの館に学芸員が数人しかいないことも多いんです。日本博物館協会の令和6年度の調査では、典型的な館(中央値)の学芸員資格を持つ常勤職員は1人でした。

だからこそ、いろいろな場面に興味を持てる人が向いています。

向いている人の特徴仕事でいきる場面
一つの分野を長く調べ続けられる調査研究・展示の企画
細かい記録をていねいに付けられる資料の整理・台帳づくり
ものを大切に扱える資料の保管・展示作業
調べたことを分かりやすく話せる講座・ギャラリートーク
予定どおりに物事を進められる企画展の準備・貸し借りの調整

向いているかを確かめる方法

頭の中で考えるだけでは、向き不向きはなかなか分かりません。実際に体験してみるのが一番の近道です。

向いているかを確かめる流れ
  1. 好きな分野の博物館に何度か通い、展示の解説を読み比べる
  2. 館の講座やワークショップに参加して、学芸員の話し方を見る
  3. 博物館のボランティア募集があれば応募してみる
  4. 大学の学芸員課程の授業や博物館実習で、裏側の作業を経験する

体験してみて「思ったより地味だけど、楽しい」と感じたら、それは向いているサインの一つです。

学芸員という仕事の全体像は学芸員とは?仕事内容・資格・なり方で紹介しています。

仕事の場面ごとに「向いているか」をセルフチェック

先に結論

「学芸員に向いているか」は、性格の診断より、仕事の場面ごとに自分が楽しめそうかで考えるほうが確かです。5つの場面のうち、楽しめそうな場面が多いほど向いていると言えます。

ここでは、学芸員の仕事を5つの場面に分けて、それぞれでどんな力がいるかを見ていきます。当てはまるものが多い場面が、あなたの強みです。

学芸員の仕事の5つの場面と求められる力を示した図解

場面1:資料を集めて整理する

新しく資料が入ったら、番号を付けて台帳やデータベースに記録します。写真を撮り、寸法や状態を書き留めることもあります。

資料の整理の場面
  • 細かい情報を、同じルールで書き続けられる
  • 1点ずつ確かめる作業が苦にならない
  • 自分のノートやファイルの整理が好き

場面2:資料を守る

収蔵庫で資料の状態を見回り、温度や湿度に気を配ります。展示替えの時には、資料を傷めないよう慎重に運びます。

資料の保管の場面
  • ものを大切に、ていねいに扱える
  • 小さな変化に気づける
  • 決まった手順を守るのが得意

場面3:展示をつくる

テーマを決めて資料を選び、解説パネルや図録の文章を書きます。会場の動線や照明についても考えます。

展示の場面
  • 伝えたいことを一つの流れにまとめられる
  • 短い文章で分かりやすく書ける
  • 締め切りに向けて段取りを組める

場面4:調べて研究する

担当分野の資料を調べ、論文や報告にまとめます。国立の機関の募集では、研究業績や論文を書類選考で見る例もあります。

調査研究の場面
  • 疑問が出たら、とことん調べたくなる
  • 文献や古い資料を読むのが好き
  • 調べた結果を文章にまとめられる

場面5:来館者に伝える

講座やワークショップ、子ども向けのイベントなどで、資料の面白さを伝えます。学校と連携した授業を受け持つこともあります。

教育普及の場面
  • 相手に合わせて話し方を変えられる
  • 人の「分かった」という顔を見るのがうれしい
  • 質問に、調べてから答えるのが好き
場面主に使う力チェックが多かった人の強み
資料の整理ていねいさ・継続力館の土台を支える
資料の保管慎重さ・観察力資料を次の世代へ残す
展示構成力・文章力来館者の体験をつくる
調査研究探究心・読解力新しい発見を生む
教育普及伝える力・柔軟さ博物館のファンを増やす

チェックの結果はこう読む

チェックを付け終わったら、場面ごとの数を見比べてみてください。

  • 整理と保管に多く付いた人は、館の土台を支える仕事で力を出しやすい
  • 展示と教育普及に多く付いた人は、来館者に近い場面で強みが出やすい
  • 調査研究に多く付いた人は、大学院や研究職の公募も視野に入れやすい

どの結果でも「向いていない」と決めつける必要はありません。今の強みと、これから伸ばしたい場面が分かれば十分です。

『5つ全部に自信があるわけじゃない』という方も、心配しなくて大丈夫です。

最初から全部できる人はいません。2つか3つの場面で「楽しそう」と思えたら、残りは働きながら身につけていけます。仕事の流れをもっと知りたい方は学芸員の仕事内容|1日の流れと4つの役割も読んでみてください。

学芸員に向いていない人の特徴と、向き合い方

先に結論

学芸員に向いていない人というより、「今のままだと苦労しやすい人」がいる、と考えてみてください。苦手があっても、工夫や準備で補えることは多いです。

ここで挙げるのは、学芸員の仕事で苦労しやすい傾向です。当てはまっても、それだけで目標をあきらめる必要はありません。

向いている傾向
  • 一つのことを長く調べ続けられる
  • 地道な作業にも意味を見つけられる
  • 人に伝えることも楽しめる
  • 計画を立てて準備できる
苦労しやすい傾向
  • 結果がすぐに出ないと飽きてしまう
  • 展示の華やかな部分だけに興味がある
  • 人前で話すことをどうしても避けたい
  • 締め切りの直前にまとめて動きがち

苦手があっても補える

例えば、人前で話すのが苦手な人は、最初は短い解説から慣れていく方法があります。

博物館実習では、資料整理や展示作業のほか、教育普及や受付などを経験することがあります。ここで「意外と話せた」と気づく人もいるんです。

締め切り前に慌てがちな人なら、展示の準備を逆算して書き出す練習をしてみてください。大学のレポートや卒業論文でも、同じ練習ができますよ。

苦労しやすい傾向今からできる補い方
結果がすぐに出ないと飽きる小さな調べものを、期限を決めて仕上げる練習をする
華やかな部分だけに興味がある博物館のボランティアで裏側の作業を体験する
人前で話すのが苦手ゼミ発表や短い解説から少しずつ慣れる
締め切り直前に動きがち準備を逆算してカレンダーに書き出す

働き方の条件が合うかも大事

性格とは別に、働き方の条件が合うかも見ておきましょう。

例えば、埼玉県の学芸員採用選考の受験案内には「博物館・文書館勤務は土日を含む変則勤務」と書かれていました。土日に休みたい気持ちが強い人は、ここが合うかどうかを考えておく必要があります。

よくある思い込み

「学芸員は静かな職場で、一人でこつこつ研究する仕事」と思い込んで目指すと、来館者対応や事務作業の多さに驚くことがあります。仕事の幅の広さを先に知っておきましょう。

「やめとけ」と言われる理由とその向き合い方は、学芸員はやめとけ?つらい・食えないと言われる理由でくわしく紹介しています。

学芸員のやりがいと魅力

先に結論

学芸員のやりがいは、自分が調べたことが展示や講座の形で人に届くこと、そして資料を次の世代へ残す仕事に関われることです。地道な仕事が、目に見える形で実を結ぶのが学芸員の魅力なんです。

『大変な話ばかりだと、やりがいはあるの?』と思いますよね。

ここでは、学芸員の仕事のやりがいと魅力を、場面ごとに見ていきます。

やりがいを感じやすい場面どんな瞬間?
企画展の開幕何年も調べてきたテーマが、展示として形になる
来館者との会話「面白かった」「また来たい」と声をかけてもらえる
新しい資料との出会い寄贈や調査で、これまで知られていなかった資料に出会う
研究の発表調べた成果を論文や報告で残せる
子ども向けの講座子どもが目を輝かせて質問してくれる
学芸員のやりがいの一つ、展示づくりの場面を表した写真

調べたことが「形」になる

学芸員の調査研究は、論文だけで終わりません。展示や図録、講座という形で、多くの人に届きます。

例えば、こんな場面があるかもしれません。

「この解説を読んで、地元にこんな歴史があったなんて知りませんでした」

「実は、それを確かめるのに何年もかかったんです。気づいてもらえてうれしいです」

自分の研究が誰かの「知らなかった」を「知ってよかった」に変える。ここが、学芸員ならではの魅力です。

資料を次の世代へ残す

博物館の資料は、今の来館者だけのものではありません。保管・保存の仕事は、何十年も先の人に資料を手渡す仕事でもあります。

博物館法では、資料の収集・保管・展示・調査研究が博物館の役割として定められています。その中心にいるのが学芸員なんです。

やりがいと大変さはセットになっている

企画展が開幕した時のうれしさは、それまでの準備が大変だったからこそ大きくなります。

『大変なのは嫌だけど、やりがいは欲しい』と思うのは自然なことです。ただ、学芸員の仕事では、その2つがほとんどセットになっているんです。

だからこそ、準備の過程そのものを楽しめるかどうかが、向いているかを見分けるヒントになります。

好きな分野と一生付き合える

学芸員は、歴史や美術、自然科学など、自分の専門分野と長く付き合える仕事です。

『好きなことを仕事にしたい』という気持ちが、そのまま仕事の原動力になります。分野ごとの違いは次で見ていきますね。

分野によって「向いている人」は少しずつ違う

先に結論

学芸員の分野は、歴史・考古・民俗、美術、自然科学などに分かれます。どの分野でも土台は同じですが、求められる知識や得意なことは少しずつ違います。

『歴史が好きな人と、生き物が好きな人では向き不向きが違うの?』と気になりますよね。

土台になる力は同じですが、分野によって学ぶことや資料の扱い方が変わります。

分野扱う資料の例向いている人のイメージ
歴史・考古・民俗古文書・土器・生活の道具古い文字や地域の歴史を読み解くのが好き
美術絵画・彫刻・工芸品作品の背景や作家の歩みを調べるのが好き
自然科学化石・岩石・動植物の標本観察や分類、野外での調査が好き

日本博物館協会の令和6年度の調査では、専任の学芸系職員に占める学芸員有資格者の割合は、文系(美術・郷土・歴史)で68.8%、理系(自然史・理工・動物園・水族館など)で26.6%でした。

理系の館では、学芸員資格を持たずに学芸系の仕事をしている職員も多い、ということです。分野ごとの違いは学芸員の分野・種類|歴史・考古・美術・自然科学の違いで紹介しています。

英語や文章の力も役に立つ

国立の機関の募集では、英語の力を求める例もあります。東京国立博物館の研究職員の選考案内では、英語で諸外国の研究者と交流できる能力が挙げられ、筆記試験には英文和訳がありました。

『英語が苦手だと無理?』と不安な方もいるかもしれません。すべての募集で求められるわけではないので、まずは志望先の募集要項を見てみてください。

働きながら目指す社会人の場合

社会人の場合は、今の仕事で身につけた力がそのまま強みになることがあります。

例えば、事務の仕事で記録や書類の管理に慣れている人は、資料の整理の場面で力を出しやすいです。接客や営業の経験がある人は、来館者に伝える教育普及の場面で強みが出ます。

『社会人からでは遅いかも』と心配しなくて大丈夫です。今の経験を、5つの場面のどこで活かせるか考えてみてください。

自分に合う学び方を探す

向いている分野が見えてきたら、次はその分野を学べる大学選びです。学芸員になるまでの流れは学芸員になるには?必要な資格と大学選びからの流れでまとめています。

学芸員課程のある大学は、文化庁の博物館総合サイトによると国内の約300校です。自分が好きな分野の先生や授業があるか、資料で比べてみるところから始めてみませんか。

大学選び

学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる

学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。

資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る

(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)

学芸員に向いている人について知恵袋によくある相談

先に結論

知恵袋では「おしゃべりな人は向いていない?」「労働条件ややりがいを知りたい」「理系の科学館の学芸員を目指すには?」といった相談が読まれています。

ここでは、学芸員の向き不向きについての相談を要約して答えていきます。

「学芸員の働き方、向いている性格、やりがいを教えてください」

勤務時間や休日、向いている性格、やりがいや大変なところをまとめて知りたいという相談です。多く読まれています。

働き方は、勤め先や雇用形態で変わります。土日を含む変則勤務の館もあるので、募集要項の勤務条件の欄で確かめてみてください。

向いている性格は、この記事でお話しした通り、長く調べ続けられることと、人に伝えるのも楽しめることです。やりがいは、調べたことが展示や講座で人に届く瞬間にあります。

「おしゃべりな人は、学芸員に向いていないですよね?」

学芸員は静かな仕事というイメージがあって、話好きな自分は向いていないのでは、という相談です。

そんなことはありません。学芸員には、講座やギャラリートーク、学校との連携授業など、話す仕事もたくさんあります。

話すのが好きな人は、教育普及の場面で力を発揮しやすいんです。

例えば、展示室でこんな会話が生まれることもあります。

「この絵、どうしてこんなに暗い色を使っているんですか?」

「いい質問ですね。実はそこが、今回の展示で一番お話ししたいところなんです。少し近づいて見てみましょう」

こうしたやりとりを楽しめる人は、来館者にとって心強い存在になります。ただ、資料を扱う時は静かに集中する場面もあるので、切り替えができると安心です。

「高校生です。将来、科学館の学芸員になりたいです」

科学館の学芸員を目指していて、どんな進路を選べばいいか知りたいという相談です。

科学館や自然史系の館では、専門分野の知識が大切になります。大学では、目指す分野(地学・生物・物理など)を学べる学部を選び、学芸員課程があるかも合わせて確かめてみてください。

理系の館は、学芸員資格を持つ人の割合が文系の館より低いという調査結果もあります。資格と専門の勉強、両方を大切にしていきましょう。

「高校1年生です。学芸員の普段の仕事内容を知りたいです」

学芸員を目指している高校生から、普段どんな仕事をしているのか知りたいという相談です。

普段の仕事は、資料の整理や記録、収蔵庫の見回り、展示の準備、講座の準備、問い合わせへの対応などです。企画展の前は展示づくりが中心になり、終わったあとは資料を片付けて次の準備に入ります。

高校生のうちにできることもあります。気になる博物館に通って展示の解説を読み比べたり、館の講座に参加したりしてみてください。学芸員の仕事のイメージが、ぐっと具体的になりますよ。

よくある質問

学芸員に向いている人はどんな人ですか?

好きな分野を長く調べ続けられて、地道な作業もていねいにこなし、調べたことを人に伝えるのも楽しめる人です。性格の明るさやおとなしさはそれほど関係ありません。

学芸員に向いていない人はいますか?

結果がすぐに出ないと飽きてしまう人や、展示の華やかな部分だけに興味がある人は苦労しやすい傾向があります。ただ、準備や経験で補える部分も多いです。

学芸員のやりがいは何ですか?

自分が調べたことが展示や講座の形で人に届くことです。資料を次の世代へ残す仕事に関われることも、大きなやりがいです。

学芸員の魅力を一言で言うと?

好きな分野と長く付き合いながら、その面白さを多くの人に伝えられることです。

人前で話すのが苦手でも学芸員になれますか?

なれます。講座などで話す場面はありますが、短い解説から少しずつ慣れていく人もいます。博物館実習で経験しておくと自信につながります。

まとめ

この記事の要点
  • 学芸員に向いている人は、長く調べ続けられて人に伝えるのも楽しめる人
  • 資料の整理・保管・展示・調査研究・教育普及の5つの場面でセルフチェックできる
  • 学芸員に向いていない人というより、苦労しやすい傾向があると考える
  • 学芸員のやりがいと魅力は、調べたことが人に届き、資料を次の世代へ残せること
  • 分野によって求められる知識は違うので、好きな分野から大学選びを考える
学芸員ガイド

学芸員ガイド 編集部

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