短大・専門学校・高卒から学芸員資格は取れる?

ノートと案内冊子が置かれた机に「学歴別 学芸員への道」の文字

当サイトは文化庁・文部科学省などの公的機関と、大学・博物館の公式サイトの公開情報をもとに編集部が独自に執筆しています。制度や募集の内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトで確認してください。記事内には広告を含む場合があります。

「学芸員になれる専門学校ってあるのかな」「高卒や短大卒からでも目指せる?」と、学歴のことで不安を感じている方も多いですよね。

結論から言うと、学芸員の資格は原則として4年制大学の学士の学位が前提で、専門学校だけで取る公的なルートは確認できていません。ただ、短大卒なら学芸員補から、高卒でも通信制大学や資格認定を使って目指す道があります。

この記事では、最終学歴ごとの道筋を表にしてお話ししますね。

目次

短大・専門学校・高卒から学芸員資格は取れる?

先に結論

学芸員の資格は、学士の学位があり、大学で博物館に関する科目(9科目19単位)を取った人が得るのが基本です。短大卒の人は、学芸員補の資格から始めて、学芸員補として3年以上働くと学芸員の資格につながります。

『大学に行かないと、学芸員は無理なのかな』と思いますよね。

学芸員になる道は1つではありません。博物館法には、学芸員の資格と、その仕事を助ける学芸員補の資格があり、それぞれ要件が決まっています。

学芸員と学芸員補の資格の要件

資格主な要件
学芸員学士の学位があり、大学で博物館に関する科目の単位を修得した
学芸員学芸員補の資格があり、3年以上学芸員補の職にあった
学芸員文部科学大臣の資格認定(試験認定・審査認定)に合格した
学芸員補短期大学士の学位があり、博物館に関する科目の単位を修得した
学芸員補大学に2年以上在学し、博物館に関する科目を含めて62単位以上修得した
学芸員補高専卒業など法令で決められた人で、大学で博物館に関する科目の単位を修得した

学芸員補の資格は、令和4年の博物館法改正で、短期大学士の学位と博物館に関する科目の単位を持つ人に変わりました。

学芸員補の仕事や働き方は学芸員補とは?で紹介しています。

最終学歴別に見る、学芸員補・学芸員までの道筋

先に結論

学芸員になるまでの道は、最終学歴によって変わります。高卒なら大学に入り直すか資格認定、短大卒なら学芸員補から、専門学校卒なら大学で科目を取るか資格認定、というのが大まかな道筋です。

『自分の学歴だと、どの道になるんだろう』と気になりますよね。

ここでは、この記事独自に、最終学歴ごとの道筋を一覧にしてみました。

最終学歴学芸員補までの道学芸員までの道
高校卒業大学に入り、2年以上在学して科目を含め62単位以上を修得大学を卒業して科目を修得する、または資格認定を目指す
短大卒業在学中に博物館に関する科目を修得していれば学芸員補の資格あり学芸員補として3年以上働く、または4年制大学に編入して学士を取る
専門学校卒業法令で決められた課程の修了者なら、大学で科目を修得して学芸員補の資格大学に入り直す、または資格認定を目指す
高専卒業大学で博物館に関する科目を修得して学芸員補の資格学芸員補として3年以上働く、または大学に編入する
大学を2年以上で中退科目を含め62単位以上を修得していれば学芸員補の資格学芸員補として3年以上働く、または大学に戻って卒業する
大学卒業学芸員補の段階は不要博物館に関する科目を修得すれば学芸員の資格

この表は、博物館法と同施行規則をもとに、学歴ごとに分かりやすく並べたものです。自分が当てはまるかの最終判断は、文化庁の案内や大学で確かめてください。

最終学歴別に学芸員補と学芸員までの道筋を並べた図解

学芸員補として働くと、学芸員の資格につながる

学芸員補の資格を持ち、3年以上学芸員補の職にあると、学芸員の資格を得られます。

学芸員補の職には、博物館の学芸員補だけでなく、法令で同等以上とされる職も含まれます。例えば、社会教育主事や司書、教育委員会や社会教育施設で資料を扱う職員などです。

ただ、学芸員補の募集はそれほど多くありません。文部科学省の社会教育調査(令和6年度)では、博物館で働く学芸員補は597人で、そのうち専任は225人でした。

よくある思い込み

「学芸員補の資格があれば、どこかで3年働けば学芸員になれる」と考えがちです。実際は、学芸員補やそれと同等の職に就くこと自体が狭き門なので、大学に進む道とあわせて考えておきましょう。

学芸員の専門学校はある?専門学校卒の人の道

先に結論

文化庁の学芸員養成課程開講大学一覧は大学と短期大学だけで、専門学校は載っていません。専門学校だけで学芸員資格を取るルートを示した公的な記載は、確認できていません。

『学芸員の資格が取れる専門学校があれば、2年で取れるのに』と思いますよね。

残念ながら、学芸員資格のための「博物館に関する科目」は、大学で修得することが法律で決まっています。そのため、専門学校の授業だけでは学芸員資格の要件を満たせないんです。

専門学校卒の人が使える仕組み

とはいえ、専門学校で学んだことがまったく無駄になるわけではありません。

仕組み内容
学芸員補の資格専修学校の特定の専門課程を修了した人などは、大学で博物館に関する科目を修得すると学芸員補の資格を得られる
試験認定の科目免除文部科学大臣が認めた修業年限2年以上の専修学校専門課程の学修は、試験科目の免除の対象になる場合がある
大学への入り直し通信制大学の正科生として入学し、卒業と同時に資格を取る

どの専門課程が対象になるかは、学校や課程によって違います。卒業した学校と、文化庁の受験案内で確かめてみてください。

「専門学校の科目履修生」とは違う

大学の科目等履修生(大学の授業を科目単位で受ける学生)として学芸員の科目を取る方法は、多くの場合、すでに学士の学位を持つ人向けです。専門学校卒の人が学芸員の資格まで進むには、大学を卒業する道を考えるのが基本になります。

高卒・高校生から学芸員を目指すには

先に結論

高校生なら、学芸員課程のある4年制大学に進むのが一番の近道です。高卒で社会人の人は、通信制大学に正科生として入学して卒業する道と、博物館で実務経験を積んで資格認定を目指す道があります。

『経済的な理由で、通学の大学は難しい』という方もいますよね。

そんな時に考えたいのが、通信制大学です。通信制大学なら、働きながら学士の学位と学芸員の資格を目指せます。

高卒の人の3つの道

高卒から学芸員資格を目指す流れ
  1. 通学の4年制大学で、学芸員課程を履修して卒業する
  2. 通信制大学に正科生として入学し、学芸員の科目を取って卒業する
  3. 博物館で資料を扱う実務を4年以上経験し、試験認定を受ける
高卒から学芸員資格を目指す3つの道を示した図解

3つ目の試験認定は、受験資格の一つに「大学に入学できる者で、博物館資料関係の実務を4年以上行った人」があります。高校を卒業していれば大学に入学できるので、高卒でも受けられる可能性がある道です。

ただ、実務に当たるかどうかは、勤め先の証明書などで判断されます。今は試験認定と審査認定を年ごとに交互に行う運用なので、受けられる年も確かめておきましょう。

資格認定の流れは学芸員資格認定とは?でくわしく紹介しています。

通信制大学なら、働きながら学士を目指せる

通信制大学の中には、正科生として入学し、卒業と同時に学芸員の資格を取れるところがあります。例えば奈良大学の通信教育部は、1年次入学生と3年次編入学生が資格科目を修得すれば、卒業と同時に資格を取れると案内しています。

一方で、学士の学位を持つ人向けの科目等履修として学芸員の科目を用意している大学もあります。高卒の人は、正科生として入学して卒業まで進める課程かどうかを、最初に確かめておきましょう。

通信制大学の選び方は通信制大学で学芸員資格を取るで紹介しています。

高校生のうちにやっておきたいこと

まだ高校生なら、大学選びの段階で学芸員への道はぐっと近くなります。

高校生のうちに確かめたいこと
  • 志望する大学に学芸員課程があるかを調べる
  • 学びたい分野(歴史・美術・生物など)の学部を考える
  • 近くの博物館や美術館に足を運び、どんな資料があるかを見ておく
  • 通学が難しい場合は、通信制大学の正科生も候補に入れる

オープンキャンパスでは、こんなふうに聞いてみるのもおすすめです。

「この学部から学芸員課程を取れますか?」

一言聞くだけで、入学後に「取れなかった」と困ることを防げますよ。

学歴に合った道が見えてきたら、学芸員課程のある大学を探して、入学の条件を比べてみましょう。通学か通信か、正科生か科目等履修かで選べる大学が変わります。

大学選び

学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる

学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。

資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る

(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)

学芸員の学歴についての知恵袋によくある相談

先に結論

知恵袋では「高卒で学芸員になれる?」「学芸員の資格が取れる専門学校はある?」「専門学校卒で今は水族館で働いている」という相談がよく読まれています。

ここでは、学芸員と学歴について読まれている相談を要約して答えていきます。

「経済的な理由で大学に行けません。高卒で学芸員になれますか?」

大学に進めないけれど、将来に向けて今から資格を取りたい、という相談です。とても多く読まれています。

高卒のままで学芸員資格を取る近道は、残念ながらありません。ただ、通信制大学なら、働きながら学費を払って少しずつ単位を取ることができます。

博物館で資料を扱う仕事に就けた場合は、実務経験を積んで試験認定を目指す道もあります。あきらめる前に、自分に合う道を一つずつ確かめてみてください。

「学芸員の資格が取れる大学を教えてください。専門学校はありませんよね?」

専門学校や短大で学芸員の資格が取れるか知りたい、という相談です。

はい、専門学校で学芸員の資格を取る公的なルートは確認できていません。文化庁の開講大学一覧には、4年制大学のほかに短期大学(部)も載っていますが、短大で取れるのは学芸員補の資格です。

開講している大学は、文化庁の博物館総合サイトの表現で「約300校」あります。住んでいる地域や通信制も含めて、一覧から探してみましょう。

「高卒フリーターです。科目履修生として通信大学で学芸員の科目を取れますか?」

科目等履修生として、学芸員の科目だけを取れないか、という相談です。

科目だけを取っても、学芸員の資格には学士の学位が必要です。高卒の人が科目等履修で単位を集めても、それだけでは学芸員の資格になりません。

資格まで進みたいなら、通信制大学に正科生として入学し、卒業を目指す形を考えてみてください。

「専門学校卒で、今は水族館で臨時職員をしています」

専門学校を卒業して水族館で働いていて、学芸員の資格を取りたい、という相談です。

水族館は博物館法の「博物館」に含まれることがあります。資料を扱う実務を続けて4年以上になれば、試験認定の受験資格に届く可能性があります。

あわせて、卒業した専門学校の課程が学芸員補の要件に当たるかも確かめてみましょう。当たる場合は、大学で博物館に関する科目を取ると学芸員補の資格が得られます。

よくある質問

学芸員の資格は短大で取れますか?

短大で博物館に関する科目を取ると、学芸員補の資格になります。学芸員の資格は、学芸員補として3年以上働くか、4年制大学に編入して学士を取ると得られます。

学芸員になるのに学歴は関係ありますか?

資格の要件として学士の学位などが決まっているので、学歴は関係します。採用でも、大学卒業程度の試験や、修士の学位を求める募集があります。

高校生のうちから学芸員になる準備はできますか?

できます。学芸員課程のある大学を探し、学びたい分野(歴史・美術・生物など)の学部を考えておくと、大学選びがスムーズです。

専門学校卒でも学芸員の試験認定は受けられますか?

受験資格のどれかに当たれば受けられます。例えば、大学に入学できる人で博物館資料関係の実務を4年以上行った人は、受験資格の一つに当たります。

まとめ

この記事の要点
  • 学芸員の資格は、学士の学位と大学での科目の修得が基本
  • 短大卒は学芸員補の資格から、3年以上の勤務で学芸員につながる
  • 専門学校だけで学芸員資格を取る公的なルートは確認できていない
  • 高卒の人は、通信制大学への入学か、実務経験からの資格認定を目指す
  • 学歴に合った道を選び、課程のある大学を比べてみる
学芸員ガイド

学芸員ガイド 編集部

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