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学芸員の資格を取るなら、博物館実習は避けて通れません。『何をするの?』『どこで受けるの?』『何を着ていけばいいの?』と、気になることが次々に出てきますよね。
結論から言うと、学芸員実習は大学での事前・事後指導と、博物館での実習を合わせた3単位の科目です。受け入れ先の決まり方は大学によって大きく違うので、まず自分の大学のパターンを知るのが近道です。
この記事では、実習の中身から受け入れ先探し、服装の準備まで、実習前後に迷いやすいところを順番に見ていきます。
学芸員の博物館実習とは?資格に必要な3単位の実習
博物館実習は、学芸員資格に必要な博物館に関する科目9科目19単位のうちの1科目で、3単位です。博物館や指定施設での実習に、大学での事前指導と事後指導を合わせたものを指します。実習を取らないと、学芸員資格はそろいません。
博物館法施行規則第2条では、博物館実習は博物館か、博物館に相当する施設として指定された施設での実習で修得すると決まっています。大学がこれに準ずると認めた施設も含みます。
そして、大学での事前指導と事後指導も、博物館実習に含まれます。
『実習って、博物館に何日か行くだけじゃないの?』と思う方もいるかもしれません。実は、博物館に行く前と後の授業も、実習の一部なんです!
文化庁の「博物館実習ガイドライン」によると、平成8年の改正で、事前・事後指導の1単位を含む3単位が必修になりました。
| 実習の部分 | どこでやる | 中身の例 |
|---|---|---|
| 事前指導 | 大学 | 心構え、実習先の下調べ、資料の扱い方の確認 |
| 学内実習 | 大学 | 博物館の見学実習、資料の扱いなどの実務実習 |
| 館園実習 | 博物館・指定施設 | 学芸業務の補助や受付・監視などの実務 |
| 事後指導 | 大学 | 振り返り、記録やレポートのまとめ |
学芸員資格の実習だけ免除されることはある?
『試験で取れば実習はなしでいける?』という疑問もよく見かけます。
学芸員資格認定の試験認定では、博物館実習は試験科目に入っていません。ただし、試験認定の筆記試験に合格したあと、1年間の博物館資料関係の実務を経て認定を受ける流れになります。
つまり、大学で資格を取るなら博物館実習は欠かせません。試験認定なら、実習の代わりに実務経験が求められると考えておきましょう。
試験認定の流れは学芸員資格認定試験とは?で詳しく紹介しています。
博物館実習の内容は?学内実習と館園実習でやること
文化庁のガイドライン(令和6年6月版)は、博物館実習を「学内実習」「館園実習」「留意事項」の3本立てで示しています。ここでは、学内実習と館園実習の中身を見ていきましょう。
大学の中で資料の扱い方や見学を学び、最後に博物館の現場で学芸業務を手伝う、という2段構えです。館園実習は、学芸員養成課程の最終段階で行うのが基本とされています。
| 実習の種類 | 単位の目安 | 時間・日数の目安 |
|---|---|---|
| 学内実習 | 2単位相当以上 | 延べ60時間から90時間程度以上 |
| 館園実習(通常) | 1単位相当以上 | 延べ30時間から45時間程度以上、計5日以上 |
| 館園実習(長期実践型) | 1単位相当以上 | 延べ80時間以上、計10日以上 |
ガイドラインは「この通りに実施しなければならない」という決まりではなく、目安として示されたものです。実際の日数は、大学と受け入れ館の取り決めで変わります。
学内実習でやること
学内実習は、見学実習・実務実習・事前事後指導で組み立てるのが望ましいとされています。集中講義の形で行うこともできます。
例えば、ほかの博物館に出かけて展示の工夫を観察したり、大学の中で資料の扱い方を練習したりします。玉川大学の通信教育課程のように、大学内の教育博物館で考古資料や絵画の扱い、資料の修理・修復などを学ぶ例もあります。
館園実習でやること
館園実習は、博物館の現場に入って実務を経験する時間です。ガイドラインでは、実習内容の例として次のようなものが挙がっています。
- 展示作業、資料整理、教育普及、調査、広報などの学芸業務の補助
- 資料の受け入れから展示・活用までの流れを知る
- 受付・監視・保守点検など、学芸業務以外の実務
『受付や監視もするの?』と意外に感じた方もいるかもしれませんね。博物館は、来館者を迎える仕事があってこそ動いている場所です。
実習先によっては、「今日は展示替えの作業を手伝ってください」「午後は受付をお願いします」と、日によって担当が変わることもあります。
令和6年6月版のガイドラインでは、延べ80時間以上・計10日以上を目安にした「長期実践型」の館園実習が加わりました。インターンシップ制度などを使う形も含まれ、各大学の判断で通常の館園実習と同じように扱えます。
実習費・保険・成績はどうなる?
実習費は、各博物館と大学の規定によって決まります。保険(対物・対人)は、大学か学生があらかじめ入っておく形です。
成績は、受け入れた博物館ではなく、送り出す大学の教員がつけます。また、ガイドラインは、博物館実習を実験などのほかの科目で代わりに開講することを「厳に慎むこと」としています。
学芸員実習の受け入れ先はどう決まる?東京で探す場合も
ここがいちばん差が出るところです。学芸員実習の受け入れ先は、大学が用意してくれる場合と、自分で探す場合があります。
まずは自分の大学が「実習先を用意するタイプ」か「自分で探すタイプ」かを確かめましょう。自分で探す場合は、募集の時期が早いので前年度のうちから動くのが安心です。
大学ごとの受け入れ先のパターン
通信制大学の公式案内を見ると、パターンがはっきり分かれます。
| パターン | 大学の例 | 中身 |
|---|---|---|
| 大学が実習先を用意する | 京都芸術大学 通信教育部 | 京都の大学の施設か、東京のキャンパスと長野の美術館を組み合わせて実施 |
| 大学内の博物館で行う | 玉川大学 通信教育課程 | 大学内の教育博物館で実習 |
| スクーリングの授業内で行う | 武蔵野美術大学 通信教育課程 | スクーリング期間中に実施。自分で博物館と交渉して学外で行うことも可能 |
| 自分で探して大学が依頼する | 八洲学園大学 | 学生が受け入れ可否を調べ、条件が合えば大学から正式に依頼 |

京都芸術大学の通信教育部の実習先は、京都瓜生山キャンパスの「芸術館」で4日間です。または、東京外苑キャンパスで1日と長野の康耀堂美術館で3日間を選べます。
博物館実習はのべ11日間で、それ以外はオンライン学習です。
八洲学園大学は「本学指定の実習先はありません」と明記しています。期間は1週間から2週間程度です。
自分で探す時の時期の目安
自分で探すタイプの大学では、時期を知っているかどうかで結果が変わります。
八洲学園大学の案内では、多くの博物館が7〜8月ごろに実習期間を設け、3月末〜4月初めに実習生を募集するそうです。10月〜3月に受け入れる館は少なく、1年半の履修になる場合もあると書かれています。
実習先探しを、講義の単位がそろってから始めてしまうことです。募集は春先に締め切られることが多いので、講義と並行して受け入れ先の情報を集めておきましょう。
学芸員実習の受け入れを東京で探すなら
『東京で受け入れてくれる博物館はある?』という相談もよく見かけます。
東京には博物館や美術館が多いぶん、実習の受け入れ情報もそれぞれの館の公式サイトに出ることがあります。まずは、行きたい分野の館の「博物館実習」「実習生の受け入れ」のページを探してみてください。
実習だけ残っている人向けに、文化庁は「博物館実習のみの科目履修を受け入れている大学」を一覧にしています。令和8年8月1日現在の一覧には、東京都の和光大学と武蔵野音楽大学が載っています。
- 館の公式サイトで実習生の受け入れ方針を確かめる
- 募集時期と申し込み方法(大学経由か個人か)を確かめる
- 自分の専門分野と館の資料の分野が合うかを見る
- 実習の日数と、大学の求める時間数が合うかを確かめる
- 実習費や保険の扱いを確かめる
ガイドラインでは、実習先は登録博物館か博物館指定施設(大学附属博物館を含む)が望ましいとされています。気になる館がどちらに当たるかも、大学の担当者に聞いておくと安心です。
実習前・実習中・実習後にやることチェックリスト
ここからは、学芸員実習を時期ごとに分けて、やることをチェックリストにしてみました。前の週に慌てないよう、印刷して使ってみてください。
実習は「始まる前の準備」で8割が決まる、と言っても大げさではありません。前日と当日の準備だけでなく、1か月以上前からやることも入れています。
| 時期 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 前年度〜数か月前 | 受け入れ先の募集時期を調べる・申し込む | 実習先を確保する |
| 1か月前 | 実習先の展示・資料の分野を下調べする | 当日の作業の意味が分かる |
| 1週間前 | 服装・持ち物・集合時間・交通手段を確かめる | 当日あわてない |
| 実習中 | 毎日の記録をつける・分からないことを聞く | 事後指導のまとめに使う |
| 実習後 | お礼を伝える・記録をまとめて事後指導に出る | 単位を仕上げる |

- 受け入れ先の公式サイトで常設展と企画展の内容を見ておく
- 館の資料の分野(歴史・美術・自然史など)の基本を復習する
- 志望理由や実習で学びたいことを、自分の言葉で書いておく
- 事前指導で配られた注意事項を読み返す
- その日にやった作業と、気づいたことをメモする
- 資料に触れる前に、扱い方の指示をよく聞く
- 分からないことは、作業の手を止めてから質問する
- 来館者がいる場所では、声の大きさと動き方に気を配る
- 受け入れ館の担当の方へお礼を伝える
- 実習の記録を、事後指導の課題に合わせてまとめる
- 学んだことを、講義で習った科目と結び付けて振り返る
例えば、実習中に「この資料はどうして手袋をして扱うんですか?」と聞いてみると、資料保存論で学んだことが現場の動きとつながります。質問は失礼ではなく、学びに来ている証拠なんです!
学芸員実習の服装と持ち物の準備
『学芸員実習の服装って、スーツ? 私服?』と迷う方は多いはずです。
結論から言うと、服装は受け入れ館と大学の指示がいちばん大切です。作業の内容によって、ふさわしい服装が変わるからです。
初日やあいさつの場はきちんとした服装、資料整理や展示作業の日は動きやすく汚れてもよい服装、というように作業に合わせて考えます。迷ったら、事前に「どんな服装がよいですか」と聞いておきましょう。
| 場面 | 服装の考え方 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 初日・あいさつ | 落ち着いた色のきちんとした服装 | 大学の指示があればそれに合わせる |
| 資料整理・収蔵庫の作業 | 動きやすく、ほこりが付いてもよい服 | 資料に引っかかる飾りやアクセサリーは外す |
| 展示作業 | しゃがむ・脚立を使うことも考えた服 | 足元はすべりにくい靴に |
| 受付・監視 | 来館者から見て落ち着いた服装 | 館の指示や貸与物があれば従う |
資料を扱う作業では、指輪や腕時計、長いネックレスなどが資料を傷つけるおそれがあります。爪を短く整えておくのも、手袋をする作業の多い実習では役に立ちます。
- 筆記用具とメモ帳(鉛筆を指定されることもある)
- 動きやすい靴や上履き(指定がある場合)
- 実習の記録用のノート
- 大学から配られた書類や名札
男女別の身だしなみや、学芸員として働く時の服装については、学芸員の服装は?制服の有無と男女別の身だしなみで詳しく紹介しています。
社会人が学芸員実習を受けるには
働きながら学芸員資格を取る方にとって、いちばんの壁が実習の日程です。
館園実習の目安は計5日以上で、学内実習やスクーリングも加わります。『仕事を何日休めばいいの?』と心配になりますよね。
実習の日数と時期は、大学によってかなり違います。仕事の休みを取りやすい時期に実習を組める大学を選ぶことが、社会人にはいちばんの近道です。
| 社会人が見るポイント | 確かめる中身 |
|---|---|
| 実習の時期 | 夏に集中するのか、選べるのか |
| 実習の場所 | 大学が用意するのか、自分で探すのか |
| 実習の日数 | 館園実習とスクーリングを合わせた日数 |
| 実習を受ける条件 | 講義の科目をすべて取ってからか |
例えば八洲学園大学は、博物館実習以外の8科目16単位をすべて修得し、事前アンケートに答えないと実習を履修できないと案内しています。講義を先に終えてから、実習の時期に合わせて休みを取る形になります。
放送大学では、博物館に関する科目のうち8科目16単位を取れますが、博物館実習は取れません。放送大学は、履修を始める前に実習を受ける大学を確保しておくよう案内しています。
社会人が資格を取る全体の流れは、社会人が学芸員資格を取る方法で紹介しています。通信制大学の選び方は通信制大学で学芸員資格を取るが参考になります。
実習の取りやすさは、大学選びでほぼ決まります。働きながら資格を目指すなら、まずは学芸員課程のある大学を探して、実習の進め方を資料で比べてみてください。
大学選び
学芸員課程のある大学を探して、資料で比べてみる
学芸員資格は、文部科学省令で定める博物館に関する科目を大学で修得して得るのが基本です。通信制で学べる大学もあります。まずは文化庁が公開している学芸員養成課程の開講大学一覧で候補を探し、気になる大学の資料を取り寄せて、実習の扱いや費用、学べる期間を見比べてみましょう。
資格取得学芸員養成課程の開講大学一覧を見る(文化庁の公式サイトに移動します。最新の課程・募集内容は各大学の公式サイトで確認してください)
学芸員実習でよくある相談
ここでは、学芸員実習についてよく見かける相談を3つ取り上げます。内容は要約しています。
相談1:放送大学で単位を取っているが、実習ができない
放送大学で博物館に関する科目を取っているけれど、実習が取れないのでどうすればいいか、という相談です。
放送大学では博物館実習の単位は取れません。そのため、実習は別の大学で取ることになります。
- 文化庁の「博物館実習のみの科目履修を受け入れている大学」の一覧を見る
- 通えそうな大学に、受講人数や時期を事前に相談する
- 実習以外の科目の条件がないかを確かめる
- 放送大学と実習先の大学、両方の成績証明書で資格を証明する
放送大学も、自校の証明書とほかの大学の証明書をあわせて出すことで、資格を証明できると案内しています。
相談2:予定していた博物館で受け入れができなくなった
実習の予定だった博物館が、急に受け入れできなくなってしまった、という相談です。焦りますよね。
まずは、一人で探し回る前に大学の課程の担当者に相談してみてください。
ガイドラインでは、実習先は登録博物館や指定施設が望ましく、大学が準ずると認めた施設も含まれます。代わりの館を探す時も、大学が認めるかどうかが大切です。
「別の館で受けたいのですが、どの施設なら認めてもらえますか?」と、先に大学に聞いておくと話が早く進みます。
相談3:実習の志望理由がうまく書けない
科学館への実習の申し込みで、志望理由をどう書けばいいか分からない、という相談もあります。
志望理由では、「その館を選んだ理由」と「実習で学びたいこと」を具体的に書くのがコツです。
- その館の展示や資料のどこに関心を持ったか
- 大学で学んでいる分野と館の資料のつながり
- 実習でやってみたい作業や確かめたいこと
- 実習の経験を、今後どう生かしたいか
「展示が好きだからです」だけでは伝わりにくいですよね。例えば「常設展の解説パネルの書き方に興味があり、展示の言葉づくりを学びたいです」のように、具体的にしてみてください。
よくある質問
学芸員の博物館実習は何日くらいですか?
文化庁のガイドラインでは、館園実習は延べ30時間から45時間程度以上、計5日以上が目安です。これに学内実習が加わります。実際の日数は大学と受け入れ館で変わるので、大学の案内で確かめてください。
学芸員実習の受け入れ先は自分で探すのですか?
大学によります。大学が実習先を用意する大学もあれば、学生が自分で探して大学から正式に依頼する大学もあります。入学前や履修前に、どちらのタイプかを確かめておきましょう。
学芸員資格の実習だけを別の大学で受けられますか?
受けられる場合があります。文化庁は、博物館実習のみの科目履修を受け入れている大学を一覧にしています。受講人数に制限があることもあるので、事前に各大学へ相談する形です。
学芸員実習の服装はスーツですか?
実習先と大学の指示によります。初日はきちんとした服装、作業の日は動きやすく汚れてもよい服装を求められることが多いです。迷ったら事前に聞いておくのが安心です。
社会人でも学芸員実習は受けられますか?
受けられます。ただ、実習の時期や日数は大学で違うので、仕事の休みを取りやすい時期に実習を組めるかを大学選びの段階で確かめておきましょう。
まとめ
学芸員の博物館実習は、大学での事前・事後指導と、博物館での館園実習を合わせた3単位の科目です。受け入れ先の決まり方は大学ごとに違い、自分で探す場合は春先の募集に間に合うよう早めに動くことが大切です。
服装や持ち物は、作業の内容に合わせて考え、迷ったら実習先に確かめておきましょう。
- 博物館実習は3単位で、事前・事後指導も含まれる
- 館園実習は延べ30時間から45時間程度以上、計5日以上が目安
- 受け入れ先は大学が用意する場合と、自分で探す場合がある
- 自分で探すなら、春先の募集時期に間に合うよう前年度から動く
- 服装は作業に合わせて考え、迷ったら事前に聞いておく
学芸員資格全体の流れは学芸員とは?仕事内容・資格・なり方から、ほかの科目については学芸員養成課程の科目と単位数から確かめられます。





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